猫マネとコムドット

自己肯定感 ページ34

「えっ」


洗面台の鏡に写る見慣れない自分に驚く。

昨日こそ髪明るくしたんじゃん、寝ぼけすぎ私…



洗顔後、新しく買った化粧水を塗って
ヘアアイロンのスイッチを入れた。

前までの私ならこの寝癖のまんま、やまとの家行ってたんだもんなぁ、
女としてはかなり酷かったかも…。





『理想の女の子って感じ』





昨日のゆうたの言葉がチクっと胸に刺さる



ヘアアイロンで真っ直ぐになった髪を見て、
少し後悔した。



あの女優さんは黒髪で、

私は明るい髪色。




もっと早くゆうたの好み知ってたら、
こんな色にしなかったのに




なんとなく鏡を見たくなくなって、洗面台から
部屋に戻るとゆうたはまだ寝ていた。

今日は撮影昼からだし、まだ起こさなくていっか。



特にすることもなく、しばらく携帯で暇を潰す


気づくと私はあの女優さんのブログを見ていた。




意識しすぎってわかってるし、

女優さん相手に何嫉妬してんのって思うけど、

少しでも近づきたいもん…




私はメイクポーチを取り出し、記事にある通りにメイクを真似てみた。


それでもやっぱり、


鏡の中にはいつもの私がいるだけ。




「はぁ…」




重いため息をつきながら、

やまとがよく使う『自己肯定感』という言葉を思い出した。
今の私には無いものだ。




ゆうたの彼女らしく可愛くなろうと沢山努力した。



無頓着だったネイルにもこだわって、



香水も女の子らしい甘い香りにした。



部屋着もただのパーカーじゃなくて、
可愛いデザインの物を買ったりした。



ゆうたがそれ可愛いねって褒めてくれた
ピアスをよく付けたり、



時間があればダイエットの為に運動したりして、
実は少し痩せたんだよ。







ねぇゆうた、



気付いてくれてた？

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