花になりたい彼女 (ページ8)

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6輪ページ8

『上手く騙せたかな…ｯ？』

私は今命懸けで逃げている

あんな世界に何の魅力も感じないし千空を殺した人の傍になんていたくない

いや、千空は生きてる

絶対に

自分に言い聞かせたいだけかもしれないけど、

この目で見たものしか信じないんだ、

今頃獅子王さんは困惑してるだろうな

でもあれだけすれば、千空の死に耐えれなくなって自殺したというように捉えると思う

起きた初日から決めていた

"今にも消えそうな儚い少女"
それを演じておけば結果死んだことになっても違和感はない筈

演技は一等得意だからね

一心不乱に走った

石器で傷つけた色んな箇所が痛い

さっき転んで出来た擦り傷が痛い

走りすぎて足が痛い

でも会いたいんだ

微かに残る誰かが通った跡を賭けにただひたすら足を動かした

「…は？」

「そんな…」

「死んじゃったん…だよ…？」

ゲンから言われた言葉に頭が追いつかねぇ
Aが死んだ？

分かってる、こいつが嘘をついてねぇことくらい
そもそもそんな嘘をつくわけがねぇことくらい

「し、死体は！？あったのかよ！？」

「…死体は多分川に流されたんだと思う。けどあの血マジモンだったからね…」

クロムが必死になってゲンに掴みかかるが無駄だ

「大方、司は俺が死んだこと話したんだろうな

それで耐えれず自殺した…か

ククク…大層なこっ……て…」

『私は将来花になりたいです』

「＿＿＿いや、死んでねぇ」

「…千空」

「…千空ちゃん認めたくないのは分かるけど」

「そういう話じゃねぇよ」

「？」

『千空はもし私が死んだらどうする？』

「なんだその質問」

『今ふと思った』

「…別に何もしねぇよ」

『私はね、千空の死体を描く』

「…」

『そんな引いた目で見ないで』

自分の死体を描くなんてこと言われたら誰でも引くだろ

巫山戯る様子もなく、ただ夕日を眺めるAはそれこそ絵画みてえだった

綺麗、とAと出会ってもう何回思ったか分かんねぇ感情がまた血の巡りを速める

『そういうことだから』

『千空の死体描くまで私花になれないんだよね』

「あいつは100億%生きてる」