65【黒】 ページ21
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別に、俺がAのことを「一番」に出来たことなんかないけど……こんなんでええのかなって。
こんなんでって言うのは、扱いのことで。
Aを彼女にしたはずの藤峰さんは、Aを、全然大切にせえへんかった。
振り回されて、気まぐれに甘やかされて、また突き放されて。
「翠ちゃんには、言えへんねん。
翠ちゃんも信ちゃんも、最初っから心配してるし。
私が、大好きで大好きで選んだ道やから、弱音吐いたり出来へんっていうか。
もうちょっと大事にしてほしいし、愚痴りたい時もあるけど、たまに言いたいだけで基本は、幸せやねん。
その微妙なとこ伝えられへんくて。
そんなこと、翠ちゃんか信ちゃんに言うたら、はよ別れって、言われてまうやん。
私、別れたないねん。絶対に、離したないねん」
ヒナと翠ちゃんだけやない。
みんながやきもきとしていた。
もうAは、大人なんやけど、俺達の中では、永遠に子供やから、そのAが、確実に騙されて、恋愛の泥沼に嵌まりつつあるのを見るのは、みんな辛いに決まっていた。
例の、差し出し事件を抜きにしたって、この恋愛は破綻している。
相手が女の人やからも、勿論あるけど、Aだけが、無理やり恋心にしがみついていてバランスが悪すぎるようにしか、見えへんかった。
実際問題、藤峰さんと付き合い始めてから、Aは普通に愛してくれない、相手とは正反対に恋人の存在を心の支えにして、頑張っている。
きっと今までは、色んな人と寝て発散してたんやろうけど今では、じっとペアリングを見つめたり、写真を見返しては、辛い場面を乗り越えるようになった。
それはあまりに健康的で、それでいて偏った、危ない信仰やと思うた。
みんな、この状況に危機感を持っていたけど、どんどん綺麗になって、トークも演技も上手くなって、仕事への情熱もさらに高まる分、誰も止められない。
………この「藤峰特需」が終わってしまったら、この子はこれから先、生きていけるんやろうか。
何人と関係しても、殆ど恋愛としてのめり込んだことがないらしいのに、この人に対しては、どうしてそんなに固執するんやろうか。
疑問ばかりが浮かぶ。
その疑問の分だけ、また俺がAに、本気なことの印になっていることに気づいた。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
