59【緑】 ページ15
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おーくらさんの最初に発した言葉は『嫌や』やった。
章ちゃんと丸ちゃんときて、三回目の別れ話は随分こなれて、分かりやすく纏まっていたのに反し、私はすっかり憔悴していておーくらさんの真っ直ぐな眼を、うまく見られなかった。
「嫌や」
「でも、ごめん」
「ごめんとちゃうよ、俺絶対別れたくない。」
「ごめん」
「何か嫌な事あるなら言うてよ。直すから」
「そういうこととちゃうくて」
「じゃあ何？ そもそも誰なん相手は」
「……」
「どこの男なん。気の迷いやでそんなん。
どうせ、ちょっとの浮気やろ。
別にそれの責任取らんくてええから」
「…………ふじみね、」
「え？」
「藤峰りか、さん」
「……………………は？」
「相手、藤峰さん」
「意味分からんねやけど、……え？」
「昔、ドラマで一緒になって、付き合うてた。
でも、あの人、お嫁に行っちゃって、で、最近、また、って感じで…」
「………じゃあ、俺と付き合うてたのって、カモフラージュとかやったん」
「それは違うよ。………りかさんが、特別なだけ」
「特別…」
おーくらさんの深いため息が、私の周りに取り巻く。
「おーくらさん、」
「もうええわ。」
「……」
「俺はAちゃんのこと、大好きや。
それをなんで藤峰さんに取られなあかんのか意味が分からへんだけやねん。
何が嫌になったん。」
「嫌になったと違うよ」
「………分かってるって。分かってる……。
………Aちゃん、いつも俺の前では、楽しそうで明るくて。
そんなとこが大好きやねん。
でも、辛い顔とか弱音は、一回も見せてくれへんかった。
やからこうなって、なんか納得してる自分も居んねん」
「…おーくらさん、」
「俺、振られてもうたけど、まだ好きで居ってええ？ 簡単にじゃあね、なんか言えへん」
おーくらさんは私の隣に座り直して、肩を抱いた。
あったかくて力強くて、もう既に懐かしくて、思わずその手に、自分の左手を合わせた。
その瞬間、合わせた自分の左手を見ると薬指の指輪が眼に入った。
私は、哀しいほどりかさんを感じて、重ねた左手でおーくらさんの腕を退けた。
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ゆうみ(プロフ) - まーさんさん» 本当にありがとうございます！私もすごくお気に入りで自分でもたまに読み返します笑。最近あまり更新できなかったのでこれから少し頑張るつもりです。ぜひ読んでもらえればと思います。 (2019年10月25日 23時) (
レス) id: b00a6f057e (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - はしめまして。この小説の全てが好みすぎて初めてコメントしました……！月並みな言葉しか書けませんがとにかく好きです！ってことを伝えたくて、、！ゆうみさんの小説全て好みなのでこれからも無理のない程度での更新楽しみにしてます！！ (2019年10月20日 19時) (レス) id: 880f5c4f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月18日 9時
