2.顔色【黒】 ページ39
.
.顔色【黒】
「おはようございます主任。
今日もご出勤お疲れ様です！！」
「……なんかもう、嫌味に聞こえてきたわ」
「滅相もございません」
いつもの無駄な滑舌の良さを使いながら
村上さんがファイルを差し出し、
確認を求めてくる。
ぱらぱらと書類をめくり、
ふと、目線を上へ移すと
しっかり目が合う。
怖い。
しかしこれが日常である。
そう思うと同時に、
ちょっとした違和感があった。
「……なんか、顔色悪ない？」
「横山主任に心配していただけるなんて…」
「喜んでる場合とちゃうで」
「そう見えますか？」
「なんとなく、やけど」
「確かに、思いつく節はあります」
「なんかありました？」
「ここだけの話ですが。
私、少し怖くなってきていて」
「…はあ？」
「エアコンが直って、最近また
部屋に戻ったんですが
兄たちの居る、実家の居心地が良すぎて
毎日、実家でお夕飯食べさせてもらってから
帰るのが黄金ルートになっていまして。
もう兄も、運転練習も諦めてくれましたし。
それで根性たるみ切っている
というのは自覚があります」
「顔色悪いのと、関係あります？」
「なんというか……。
その、日々余裕が出来てしまって、
ノンストレスな訳で。
そのせいで煩悩と言いますか、
毎日、考えすぎてしまうというか」
「何を考えてまうの？」
「……人生？」
「広。重。宇宙やんそんな」
「当方、文系ですのでそれは…」
「そういう意味と違うわ」
「とにかく不安というか、
このままやとあかんのかなあ、って。
生き方を、考え直すところに来たというか」
「いや、なんかよう知らんけど、
多分、大丈夫やって。知らんけど。」
「ほんまですか？」
「ほんまやって」
「すみません。
推しに、慰めの言葉を言わせるという禁忌を」
「なかなか禁忌って、普通の子言わへんと思うわ」
すみません、とぺこぺこした背中が
少し疲れてて
はよ「日常」が戻るとええな、って
そう思うたりした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうみ(プロフ) - りずさん» ありがとうございます！私のイメージがかなりバレるお話かなあと思っています笑 (2019年9月29日 22時) (
レス) id: 23afaa0b1c (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - この話好きです！！不器用で、でも一生懸命な丸ちゃんが可愛すぎて。ヒロインちゃんの背中を押してくれるすばるくんも、素敵。 (2019年9月29日 10時) (レス) id: 8a21356a9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうみ | 作成日時：2019年8月10日 9時
