検索窓
今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:149,911 hit

110 ページ4

パチパチと木が爆ぜて火の粉を巻く
ピリピリとした殺気が頰を撫でた

それはサバイバル生活2日目のことだった
イゾウが人の気配を感じたのだ
無論、この私も

「…いるね」
「おう……2、いや1か?」
「多分」

食べていた骨つき肉を下ろしイゾウはナイフに
私は戰斧に手をかけた

それは一瞬で来た

風を切って現れたのは金の獣…いや、金髪の少女だった
少女は私の首を木の棒で狙って来たが、それを戰斧で流し構えを取る

後退した少女をよくよく観察する
金髪に碧眼
人形のように恐ろしく整った顔立ちである
まるで、女神のような
それでいて無機物のような冷たさを感じる少女だった

「お嬢…どうする?」
「それ聞く?
まあ、無力化できたら万々歳だね」

私たちは不敵に笑い合う
それに少しの恐怖も入っていた
……たった一人の少女に対して

ジリジリと双方とも睨み合う
イゾウは本来銃使いなので微妙だし
私は前の戦闘で右腕を掠っている

先ほどの攻撃が小手調べ程度なら少し勝算が下がる
まあ、どっちにしろ負けるわけにはいかないけれど

時間ぐらいは稼いでおこう

「…貴女!名前は?!」

遠いので少し声を張り上げて言う
しかし、少女は構えを崩さないままである
無視をしているのか、或いは言葉が通じないのか…

「私はA!貴女は?!」

日本語で言ってみても同じ
微動だにしない
それに言語に反応もしないのだから、どうやら言葉自体を知らない可能性があった

武器を下ろすと、イゾウが訝しげにみた
殺気も私とイゾウしか出していないことに気づく

「おい、お嬢」
「多分大丈夫だよ、イゾウ兄
彼女に敵意はない。言葉も通じているか怪しい」
「だが…っおい!」
「大丈夫大丈夫」

何か言いたげな彼を宥め、焼いてある肉を少女の方に投げた
少女は空中で肉を綺麗に取って、匂いを嗅いだ
犬のような仕草に苦笑が漏れた

害がないと判断したのか彼女は肉にかぶりついた

それから、肉を目を輝かせて口に詰め込んでいく
美味しかったのだろう

「ね?害はないでしょう」
「っはぁ、かなわねぇなぁ」

肩を竦めて言うイゾウに、クスリと笑って違う肉を焼き始めた
徐々に近づく気配に振り向き隣の地面をトントンと叩けば
先ほどの警戒心などそっちのけで少女は隣に座った

肉を少女の前に置けば獣のように食べ始める

「…犬ミテェなガキだな」
「実際に犬系統が親なのかもねー」

こうして、もう一人の人間がサバイバル生活に加わった

お知らせ→←109



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (221 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
803人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

味噌 - どうなるんでしょうか!?気になりますね!! (2019年9月15日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - これからも頑張ってください〜 (2019年9月11日 6時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - アアアアア来るなとは、サッチの悲劇のことです。勘違いされていたらすみません・・・・ (2019年9月8日 17時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - はい!ぜひ!    アアアアア来るな・・・・ (2019年9月6日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 味噌さん» 長らくお待たせいたしました!あ、作品作ったんですね!暇がある時に見に行かせていただきます (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くるクラ | 作成日時:2019年8月4日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。