親父ぃ！空から女の子が！！ 4

129 ページ28

「……ええじゃろう。9400万じゃな」
「っ！中将殿！？」
「話がわかる人は好きだよ」

少年の首から戰斧を離し空中にとどまる
また降りて攻撃されたらたまったもんじゃないし

「金が用意できるまでは少年はこっちで預かるよ。それでよろし？」
「いいじゃろう」

動き出した海兵たちにほっと息をついて、未だに震えている少年を持ち直す

「ごめんよ少年。手荒な真似をしちゃって」
「ひっ、い、いえ！大丈夫です」

怯えた様子はあるものの言葉はかわせるらしい
根性はあるっぽいな

「私は知ってるかもだけどAって言うんだ。アンタは？」
「え、あ、コビーです」

…。
なんで気づかなかったんだろう。この特徴的な丸メガネはコビーだよ
なんで気づかないんだよ！！扉絵で散々ガープのこと笑っただろうが！被り物さんはガープかよ！？
そりゃつえぇよな！！

「ふぅんコビーね。階級幾つ？」
「あ、まだ全然下で一等兵になったばかりです」
「お！じゃあ全然育ち盛りだね。頑張れ」
「はぁ、ありがとうございます？」

拍子抜けというような顔をしたコビーにくすりと笑う

「この人実際にはそんな悪い人じゃないじゃ…、
なんて思ってるかもだけど残念ながらそれは違うよ？コビー少年」
「え！？」
「私は悪い人だよ。君に家族が襲われてたら捕まってたら容赦なく叩き潰すただの海賊だもの」

フッと笑えばなにかを言いたげな表情をしてコビーは押し黙った
その表情はよく見るシアンの納得していない表情が重なる
ああ、この子は将来有望だな

「おい！ネコ野郎！！お望みの賞金だ！コビーを返しやがれ！！

初めての呼び方にピクリと眉が動いた
見れば涙目の男がスーツケースを持って私を指差していた
確か…ヘル、ヘロ…やっぱヘルなんちゃらだった気が…

「彼、名前は？」
「えとヘルメッポさんです」
「なるほど…あ、空中散歩とレッツ紐なしバンジーどっちがいい？どっちも落ちるだけだけど」
「…それどっちも一緒なのでは？」
「そうとも言うね」

笑いながらゆっくりと下降し、彼の体でもギリ耐えられる距離まで下降する
大砲の射程圏内だけど撃ってこないのは人質がいるからかな
スーツケースから火薬の匂いもしないし、爆弾なんて隠してないだろう

戰斧の持ち手部分の先端を回して外し、鎖を取り出す
片手で鎖を投げスーツケースに巻きつけ引っ張る
位置も簡単に釣れたスーツケースを持ってコビーから手を放した

「う、うわぁああ！？」
「じゃあね！海兵諸君、良い旅を！」

130→←128

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す