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不寝番になれるのは極々僅かだ
それはエースだったり私だったりマルコだったり…ティーチだったり

理由は様々だ

まず目がよくなければならない
夜の海は月光が反射していても暗い
だからこそ都会育ちではまず無理だ
山暮らしだったエースとか私みたいに悪魔の実で夜目が効くものがなる

さらにもう一つ条件があった
それは、夜の海の情報を忖度しないで
どんな些細な船であっても近づいてきたらみんなに知らせる、というものだった

夜の間に近づいてくる船は主に2種類
敵船か財宝を積んでいる船だ
この二つから独り占めをしないと信用できる各隊の隊長と古参船員に不寝番が割り振られる

だからその夜、私は声を張り上げた
例えそれが運命を左右するかもしれない知らせだったとしても

「貿易船だ!!!貿易船が近づいてきてるぞ!!」

蜂の巣を突いたような騒ぎになる甲板を目に震える手を押さえつけた
視界の端で白いワンピースの裾が風に攫われて翻る



そこからはいつもと変わらずに戦闘が行われた
いつもと違ったのはサッチが回収班にいたことくらいだった



私はまんまと原作のきっかけを作ったのだった


「おーい、見ろよA!
悪魔の実だぜ?すげえだろ!」


ドヤ顔で悪魔の実を見せてくるサッチに胸の奥がナイフで刺された時みたいに痛む
その感情に蓋をして引きつる頰をなんとか動かす


「へえ、すごい!何の実か分かってるの?」
「さあな〜ま!食ってみなきゃ分かんねぇよ」

無邪気に笑うサッチに上手く笑顔を返せただろうか
ただトントン拍子で進むいつも通りの会話に不自然じゃなかった事を悟る

大丈夫、まだ引き返せる
サッチは殺させない

「サッチが悪魔の実を食べたらなんかロクなことにならなさそう
ほら、スケスケの実とかあるみたいだし」
「な、何だその食ったら勝ち組な能力」
「透明人間になれるらしーよ?」
「まじかよ!?」

軽口を叩きながら長い船内の廊下を歩く
私を嘲笑うかのように弧を描いた三日月が船窓から覗いた









「大丈夫、死なせないから」

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味噌 - どうなるんでしょうか!?気になりますね!! (2019年9月15日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - これからも頑張ってください〜 (2019年9月11日 6時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - アアアアア来るなとは、サッチの悲劇のことです。勘違いされていたらすみません・・・・ (2019年9月8日 17時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - はい!ぜひ!    アアアアア来るな・・・・ (2019年9月6日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 味噌さん» 長らくお待たせいたしました!あ、作品作ったんですね!暇がある時に見に行かせていただきます (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年8月4日 14時

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