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「…ただの貧血だよい」

気難しそうに顔をしかめるマルコ
それに吊られるように私も眉を顰めた

「弾は残ってないのね?」
「ああ、銃創と出血だけだよい
打たれた時に患部を押さえたんだろうな、少し掠れた跡があった」
「止血の仕方は分かっている感じかな?」
「いや、痛みで咄嗟に抑えたんだろ。後で教えといてやるよい」

包帯を手際よくシアンの足に巻きながら言葉を交わす
結構な傷口を見ているはずなのに不快感はなく
むしろ人形のようなこの子から傷ができて血が流れていることに安心した
怪我をしなければ人間と分からないなんて
美しすぎるのも問題である

「シアンをよろしくしていい?今日は不寝番なの」
「そうか。なら今のうちに寝とけよい」
「そのつもり」

シアンの頭を一回だけ撫でて医務室を出た
外に出れば微かにお金特有の紙の匂いが鼻をついた







「…いおい!A、交代だぜ?」

肩を揺すられて目を覚ました
マストに寄りかかる状態で寝ていたらしい
呆れたような表情をしたエースと目があった
紙幣の匂いが濃く貿易船か何かが近い匂いがする

「…おはよ、エース」
「俺は今からおやすみ、だけどな」
「それもそうね」

伸びをしながら言えばエースは苦笑した
その顔がどこか大人っぽい

「あと3時間ぐらい不寝番かよ」
「うん、まあ貿易船通るからエースは徹夜かもね」
「え゙、まじかよ」
「別に参加しなくていいんじゃない?隊員からは文句言われるかもだけど」

クスクスと笑えば「笑い事じゃないだろ」と不貞腐れた表情でエースがじとっと睨んだ
可愛いものである

「じゃ、もう行くね」
「おう、落ちるなよ」
「落ちませんから」

軽口を叩いてマストの頂上まで飛ぶ
冷たい風が頰を叩き潮の匂いが鼻をすり抜けた






ー「ねえ、知ってる?
あの闇を司る果実が海に出たんですって」




獣化した耳がそんな猫達の噂を捉えた

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味噌 - どうなるんでしょうか!?気になりますね!! (2019年9月15日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - これからも頑張ってください〜 (2019年9月11日 6時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - アアアアア来るなとは、サッチの悲劇のことです。勘違いされていたらすみません・・・・ (2019年9月8日 17時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
味噌 - はい!ぜひ!    アアアアア来るな・・・・ (2019年9月6日 22時) (レス) id: f946edc931 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 味噌さん» 長らくお待たせいたしました!あ、作品作ったんですね!暇がある時に見に行かせていただきます (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7e8dc5ebed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるクラ | 作成日時:2019年8月4日 14時

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