【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ6)

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055話ページ6

諏訪「ぶっきー、長くないらしいよ」

茅野「え？」

諏訪「病気だって。もうすぐ死ぬみたい」

茅野「うそ…Aは知ってたの？」

『まぁ、薄々は勘づいてた』

諏訪さんが鞄を持ってるってことは、

あのロッカーあけられたってことか……。

逢沢君、さては甲斐君たちに取り押さえられたな。

諏訪「バカだよね。病院で大人しくしてたらもう少し長生きできたのに

澪奈の死の真相暴くとか言ってるけど、やってること犯罪じゃん。犯罪者がえらっそうに……」

茅野「私は救われたよ」

『っ……私も、一颯先生に救われた』

茅野「澪奈があんなことになって、ずっと生きた心地がしなくて時が止まったままだった。もし先生が澪奈のことに触れてくれなかったら一生引きずってたと思う。ずっと澪奈に対して…」

諏訪「澪奈澪奈澪奈！！……なんでみんなあいつにこだわるの。私はあの女が嫌いだった。やりたいことにまっすぐで、ブレずに生きてて…目障りだった」

『諏訪さんもブレてないと思うけど』

茅野「世界のファッションショーに出るようなモデルになるって…ごめん、前に喋ってるの聞こえちゃって」

机に寄りかかりながら話す諏訪さんに向かい合うさくら。

私も向かい合いたいところだけど、今方向変えると

一颯先生の頭落っことしちゃうから失礼かもだけど顔だけ斜めに後ろを向いた。

諏訪「わかんない、そもそもほんとに叶えたかったのか。もうよくわかんない

いろんなもの犠牲にして、失って、もう後戻りできなくなって
だから前に進むしかなくてっ！
なんであんたたちにこんな話っ」

『戻ってもいいと思うよ。無理して進む必要ないと思う』

茅野「そうだ！親日の棚橋と柴田の泣ける話があるんだけど、聞く？」

諏訪「聞かない」

そう言って教室を出てった諏訪さん。

しょんぼりしながら座るさくらの頭をポンポンと撫でていると……

私の頭が床の方に引き寄せられた。

え？まさかの顔面ドスン？ここで？

そう思ったのもつかの間。唇には床の冷たい感触じゃなくて

目を覚ました先生の温かい唇だった。

茅野「えっ！？」

『一颯先生、場所をわきまえて。ここ、教室だから』

柊「すまない……みんなは」

『なんか、ぎゃーぎゃー騒いでるからケンカでもしてるんでしょ』

宇佐美「先生起きたの！？今、警察が学校に入ってきてっ、それで！」

茅野「あ、えっと！香帆、落ち着いて！どうどう……」