【3年A組】Espoir 2 - 卒業 -

089話 ページ40

『あ、そういえば、PC回収しなくていいんですか？』

柊「あぁ…そういえば、堀部に渡したまんまだったな」

『てかさ、あのフェイク動画…解析されたりしないよね？』

柊「堀部なら、できちゃうかもな」


そう言いながら教室の様子を映し出すモニターには

西崎君に話しかける堀部さんの姿が映っていた。


『あー、もう手遅れだったりして？』

柊「そうっぽいな。まぁ、バレてもいいように考えはあるし」

『んー…とりあえず、先生が良く少し前に教室戻って様子見るね』

柊「頼んだ」


私は先生に手を振って教室に戻ると、時すでに遅し。

ブレザーの内側にあるマイクに"バレた"と言ってから、

教室に入った。


『あれ？さくら、どしたの？』

茅野「あのね、礼の動画…武智先生じゃなかったの」

『え！？じゃあん、誰なの？』

宇佐美「Aも知らなかったの！？……ぶっきーだよ」

『うそ……あれ、フェイク動画だったってこと？』

甲斐「あぁ、お前マジで何も聞いてないの？」

『うん……え、なんで一颯先生が…』


皆にまざって騒いでいると先生が入り口から入ってきた。


柊「あ〜、遅かったか。
もう少し早く回収すりゃよかったな」

『ねぇ、一颯先生？これってどういうこと？』

石倉「おい……おい！これってどういうことだよ」

水越「この鏡に映ってるの、ぶっきーだよね？」

瀬尾「景山が自 殺した日、先生が景山と一緒にビルに入ったってことか」

光永「武智の仕業じゃなかったのかよっ」

立野「先生が景山を殺したんですか？」


みんなの質問を背中で受け止める先生。

私も知らなかったふりをする。

それが、一番最善だから。


不破「答えろよ！」

柊「お前たちが決めろ」

光永「はぁ？」

柊「この動画どうすべきか…俺をどうしたいか。お前たちが決めろ」


みんなを信じてる先生だからこそ言える言葉だった。

1日から8日間。先生の授業を受けてきた皆への

最後の課題。


柊「A、行くぞ」

『え、あ……待ってよ！』

須永「俺たちは信じてたんだぞ……待てよ！」

甲斐「あっ、おい！A！」

諏訪「あんたいつから名前呼び？」

石倉「アホ！んなこと気にしてる場合か！気になるけど！」


私と先生が教室から出ていくと、

すぐ後をさくらが追ってきた。


茅野「どうしてあんなこと…」

柊「そうか、お前も居づらいよな。ついて来い」

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