【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ29)

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078話ページ29

中尾「お前、実はアクション俳優目指してた？」

『はぁ？……まぁ、一応ねっ、うぅ…ｹﾞﾎｯ、ｺﾞﾎｯ』

せき込む私を先生が支えた。

唯月や水越さんも近づいてくる。

瀬尾「なんでこいつらの味方すんだよ。おかしいだろ！！」

甲斐「おかしいのはお前だろ！！推薦取り消されるのがそんなに嫌かよ」

瀬尾「嫌に決まってんだろ。俺にはこれしかねぇんだよ。やっと…やっとつかんだチャンスなんだよ！！」

須永「その推薦者が犯罪者でも同じこと言えんのかよ。
武智は景山を追い詰めた犯人かもしれねぇんだぞ！そんなヤツからもらった推薦でも、お前は喜んでいくのかよ！

今回はしょうがねぇだろ。お前ならまた次があるって」

魚住「そんな簡単に言わないで……3年間、毎日必死に練習して一生懸命努力して、それでもダメで！諦めかけてた時に声をかけてもらって
こんなチャンス二度とないって喜んで……なのに…また次があるなんて簡単に言わないでよ！」

須永君の言葉に泣きながら訴えてる魚住さん。

いや、それとこれとは話が別。

諏訪「A！？……あんた、血っ」

水越「ちょ、もう動かない方がいいってっ」

『語ってるとこ悪いけど、じゃあ…その理由振りかざして先生ボコっていいわけ？』

瀬尾「お前には分かんねぇだろ！」

『あぁ？私は武智の被害者だぞ。少なくともお前らよりは分かってる。どんだけ自分の権威や名声が大事で生徒を何とも思ってない奴かくらい
私からしたらそんなことだよ。

武智のせいで未来を亡くしたお姉ちゃんと澪奈の子と思えば…時間のない私と先生からしたら、未来あるお前らがうらやましくて仕方ねぇわっ…ｹﾞﾎｯ』

せき込み血を吐きながら話す私を区切りがいいところで簡易ベッドに座らせた先生。

唯月と水越さんは私の背中をさすりながら両脇に座ってくれた。

奥の方でさくらは「Aに未来がない？」と呟いていた。

そっか、唯月と先生にしか話してないんだっけ。

柊「瀬尾、お前のゴールはどこだ？スポーツ推薦で大学に入ることか？それとも大学を卒業しても選手を続けることか？」

瀬尾「知らねぇよ。目の前のことでいっぱいいっぱいで、考えたこともねぇよ」

涙を流しながら言う瀬尾君を見上げる。