【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ26)

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075話ページ26

石倉「何でそう言い切れんだよ」

茅野「それは……」

言葉に詰まるさくらを私と一颯先生が見つめる。

顔を俯けてしまったさくらはきっと気づいていないだろう。

柳本「この男が武智先生ってことか！」

生徒が口々に「そういうことだよ」と口々に言う。

不破「腕立て王者の武智が景山を殺した……」

兵頭「よし、これで犯人……」

瀬尾「ちょっと待てよ！今まで先生と藤枝が言ったことは全部憶測だろ。武智がやった証拠はあんのかよ」

柊「逮捕につながるようなものはない」

そう、逮捕につながる証拠は残念ながらない。

だからこそ、私達は今こうしている。

次の犠牲者を出さないために。

瀬尾「やっぱそうか。あんたと藤枝は決定的な証拠がないから学校に立てこもって騒ぎを大きくしたんだろ」

諏訪「どういうこと？」

瀬尾「印象操作だよ。これだけ大きな声で犯人だと言えば、みんながこぞって粗を探し出す。
ましてや、テレビにも出る有名人だ。フェイク動画の証拠が出て来なくても社会的制裁は十分に受ける。
これで武智じゃなかったらどうするつもりだよ」

水越「それに、ぶっきーは確証がなきゃ、あんなことは言わないよ」

瀬尾「けど、証拠はねぇだろ。だったら分かんねぇじゃねぇか」

『頭いいんだね、瀬尾君。でも』

私が言い終わる前に魚住さんが「私も武智先生がそんなことするような人だとは思えない」と否定する。

私の目的と過去は先生が目的に話すときに言いたいんだけどな……。

言わないとダメかな？これ……。

石倉「あのさぁ、何でお前らそんなに武智の肩持つの？」

熊沢「瀬尾君と華は、武智先生の推薦で豪翔大学のスポーツ推薦が決まってるから」

石倉「あー……」

真壁「武智が問題を起こせば推薦はなくなるってことか…」

豪翔大学と武智については何も知らないのか……。

教えといてあげればよかった……。

私はみんなに気づかれないように先生の腰を撫でる。

きっと少し痛み出してきたのだろう。

柊「いいだろう、だったら瀬尾。自分の手で武智先生の身の潔白を証明してみろ。
この動画に映ってる人物が武智先生じゃなければ、シロの可能性が高くなる。解析してみろ」

PCを瀬尾君に渡した先生は教室を出ていく。私もそれに引き続き、教室を出る。

私は痛みに耐える先生を支えて歩く。

すると、さくらが後を追って美術室に入ってきた。