【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ17)

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066話ページ17

眼鏡を先生に返してから、私は水越さんのことを考えた。

水越さんが泣いていたことと

好きなことを取り上げられたという言葉に引っ掛かり

同じ水泳部である澪奈に話を聞いたことがあった。

『ねぇ、澪奈。最近、水越さんの様子でおかしかったことなかった？』

景山「んー…時々、胸を押さえてたかな。発作みたいな感じ」

『それって運動前？後？』

景山「部活の後とか、連続で泳いだ後とか」

『なるほど』

その後、澪奈にどうして？と聞かれたけど詳しくは話さずに濁した。

すれ違いってややこしいね。

『先生』

柊「先生じゃなくて、一颯」

『……一颯、水越さんのことなんだけど』

柊「A、意外と情報通だな」

『え、いや…すごい偶然が重なってると思うよ。まぁ、今回に関しては坪井先生の説明の仕方も悪かったんだよ』

柊「やっぱりAは、頭がいいな……っ！あっ……いっ」

『先生、大丈夫？』

先生が腰を抑える。

私は簡易ベッドから抜け出し、先生の背中をさすった。

柊「すまない…Aは、この一件が終わったらどうする？」

『んー……先生のそばに居ようかな』

柊「そうか……よし、そろそろ行くぞ」

なにか浮かない顔をしたように見えたが、私は先生の後について教室へ向かった。

教室の黒板には、みんなで話し合ったであろう痕跡が残されていた。

柊「ほう、お前たちの本命は坪井先生か」

『そうだ、水越さんの投稿見たよ。ネットで凄い反響だったね』

私の言葉にみんなが水越さんの方を向く。

水越さんは少し目を泳がせた。

諏訪さんが水越さんに動画について質問を投げかけた後、

先生が自分のスマホで動画を流し始めた。

柊「この動画を見たら、みんな坪井先生が犯人だと思うだろうなぁ」

真壁「なんでこんなことを…」

水越「別に嘘ついたわけじゃないし……私は自分の意見を言っただけ！
それの何がいけないの」

柊「ネットじゃ、坪井先生のバッシングであふれてるよ」

先生のPCから流れるマイボイの投稿音を聞いた水越さんは

「いい気味」と呟いた。

私はその態度を見て一瞬前のめりになったが抑えた。

先生は、おもむろにPCを操作しネット電話を先生たちとつなぐ。