【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ11)

今日:35 hit、昨日:5 hit、合計:143,297 hit

060話ページ11

『で、なんで隣に？』

柊「……起きたか」

『いや、寝すぎました』

あのまま寝てしまった私は、目を覚ました。

目の前には一颯先生の服がドアップ。

感じるぬくもりと一颯先生の匂いに包まれて起きた私は、

寝る前の苦痛なんてまるでなかったみたいにすっきりしていた。

『先生、行きますよ』

柊「んー……おはよう」

『んっ……っ！？』

いつもより長い。何が長いって……あれよ、キス。

ついでに苦しいっ！

『んぁ……一颯先生、元気ですね』

柊「起きたら目の前にAがいるなんて幸せ以外の何物でもないからな」

「よし行くかぁ」と言って準備室を出る。

教室に行くと身支度を整えた皆がきちんと席に座っていた。

ここ数日でここまで変わるとは……柊一颯おそるべし。

柊「起立。俺の授業を始める。礼……着席

これから、信じる信じないゲームを始めよーう！！」

「とうとうイカれちまったか」という男子の声に笑いが起きるほど、

みんなは和やかだった。

『信じる信じないゲームって何？』

茅野「なんですかそれ」

さくらと私の質問に答えるように

先生は「信じろー」と言って、その後に「信じるなぁ」と言って眼鏡をはずした。

『あ、そゆこと』

茅野「あ、Aも分かった？」

『まぁね』

そのあと、夕方くらい。

先生は私を含む生徒を後ろ向きに黒板の前に並ばせ写真を撮った。

皆が生きているという証拠。

夕飯は教室でカレーを食べようと思ったんだけど

あまり食欲がない。

茅野「あれ？A食べないの？」

諏訪「A、あんたただでさえ痩せてきてるんだから食べなきゃ」

『食欲ないんだもーん！魚住さんあげる！』

魚住「え、いいの！？」

宇佐美「あぁ！こら！一口だけでも食べな！」

私は、香帆がスプーンにすくった一口分を

顔をしかめながら食べた。

茅野「体調悪いんだから、ちゃんと食べないと」

『さくら、シーッ……内緒だよ』

宇佐美「聞こえてんのよ。まぁ、この子たちはご飯に夢中だけどね」

魚住「え？なんか言った？」

諏訪「私は聞こえたから、あとで事情聴取するからね」

そう言って唯月は水越さんたちのところへ戻っていった。

相変わらずいい後ろ姿……あぁ、早く描きたい！

そして、夕飯の後は念願のシャワータイム。

みんな大はしゃぎでシャワールームに向かった。