【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ1)

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050話ページ1

柊「必死に縋ってもダメな時もある。

どうにもならないことだって山ほどある。でもお前には、少なくともチャンスがあったんじゃないのか？」

甲斐「もうおせぇ……もう遅せぇんだよっ、なにもかもっ…今更どうにもならねぇんだよ！」

床に手をつき泣き崩れる甲斐君に近寄ろうとした時、

一颯先生が私の方に腕を出し止め、自分が近づいた。

そして、俯いていた顔を上げさせるように前髪を掴む。

柊「甘えてんじゃねぇぞ、お前は景山の人生を狂わせた一人なんだよ。遅いなんて言わせねぇ、景山のために真実を明かして明日と戦え……

抗え！！もがいて掴め！！！
……生きてるお前には、それができるんだよっ

動画を加工したのは誰だ」

甲斐君がここで動画を加工した人間を言えば、

私の姉のフェイク動画を加工した犯人も分かる。

あんな精巧なフェイク動画作る奴なんて、

しかも、こんな近辺でなんて2人といない。

甲斐「言えねぇ……」

石倉「甲斐っ！！！」

甲斐「言ったら何されるか分かんねぇんだよ！！」

泣きながら訴える甲斐君。

きっと、そのフェイク動画を加工した奴に人質でもとられているんだ。

でも、先生がその可能性を考えてないなんてヘマはしない……はず。

甲斐「俺がばらしたらっ…俺の家族がっ」

柊「俺が何とかする。だからっ、俺を信じろ」

甲斐「人殺しを信じろって言うのかよっ」

まぁ、確かに。甲斐君たちからしたら先生は、

甲斐君のクラスメイト6人を殺した殺人犯だ。

そのとき肩に衝撃が。

あまりの勢いに少しよろけたが、なんとか踏ん張った。

茅野「あっ、ごめんね。A！甲斐君、信じてもいいと思う」

『さくら？どこ行ってたの？』

茅野「先生は、きっと誰も殺してないっ」

『なんで……』

さくらの一言で教室がざわつく。

もしかして、美術準備室に入った？

いや、でもドアノブには電流が流れているはず……。

諏訪「どーゆうこと？」

茅野「昨日下から声がして、気になったから隙を見て美術室を見てきたの。」

甲斐君と先生のぶつかり合いが始まった頃、

みんながそっちに集中している隙に美術室へ行ったらしい。