【3年A組】Espoir - 卒業 -

035話 ページ36

茅野「お願い。私に協力して！」

宇佐美「もれそうなんだけど」


そう言って宇佐美さんはトイレの扉を閉めてしまった。

「ごめん」と扉越しに謝ったさくらに宇佐美さんが語り掛ける。


宇佐美「あんたと藤枝の方が知ってるんじゃない？まぁ、藤枝は頭よさそうだし、気づいてるかもしれないけど。」

茅野「へ？」

宇佐美「全国大会、見に行ったんでしょ。水泳部以外にうちの生徒はいなかったの」

茅野「あっ」

『そういえばね、いたよね』


そういえば、澪奈を庇ってフルボッコにされた真壁君に

マネージャーを薦めたのって……さくらなんだっけ。

病室で、真壁刀義やら澪奈様の曲線美と語っていたのを思い出した。

それから退院した真壁君は水泳部のマネージャーになったんだっけ。


夕方。

私たちとさくらは宇佐美さんを誘って廊下を歩いてきた逢沢君に声をかけた。

彼もまた、私たちと澪奈の応援に来ていたメンバーだったからだ。


茅野「澪奈の全国大会、逢沢君もいたよね」

逢沢「もしかして疑われてる？」

『いやいや、逢沢は私たちとずっと一緒にいたでしょ』

茅野「違う違う、逢沢君は澪奈のことで映画製作も中止になっちゃったし、むしろ被害者でしょ。

私が聞きたいのは、他の男子のこと」

『私たちが応援席に居た時さ、水泳部のジャージ来た里見君もいたよね？』

逢沢「あぁ、没収されたビデオカメラにも映ってると思う」


なんで水泳部のジャージを着ていたのか経緯までは知らないけど、

逢沢君まで見てるのだから、立派な目撃証言だ。

あとはいつこれを言うかだけど……。


水越「今の話本当？」

諏訪「ハブられた奴らが仲良く何やってんのかと思ったら、探偵ごっこかよ」


予定外の登場を果たした諏訪さん、小宮山さん、水越さんの3人。

諏訪さんは私たちの間を通り過ぎると教室に入り

里見君本人に私たちが疑っていることを告げた。

私達は水越さんと小宮山さんに強引に押されながら教室に入れられる。


小宮山「名推理利かせてよ」

茅野「いや、全国大会の会場に居たよね。観客席に……ジャージ着て」

須永「おいどういうことだよ」

真壁「あ、そういえば大会の日……ジャージの上着里見に貸したんだっけ」

河合「え、なんでかしたの？」

真壁「あの時いろいろと準備に追われてて、なのに急遽駐車場の警備も手伝わないといけなくなって

たまたま会場にいた里見にお願いして引き受けてもらったんだ」

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