ぽや門に恋した姫 (ページ49)

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人は本当に驚くと言葉が出なくなると聞いたことがあるけどそれは本当らしい。
現に今の私は頭の中が混乱していて言葉を発することができていない。

正「もしかして予想外、？」

『……はい』

正「そうか…結構俺分かりやすいと思ってたわ」

『その、こんなこと聞くの失礼かもですけど…本気、ですか？』

正「もちろん。Aのこと本気で好き。俺が嘘ついてるって思っとる？」

『そういうことやなくて…！ただ、まさか正門くんが私なんかのこと……』

この業界には綺麗で可愛らしい女性がたくさんいる。
もちろんその中には正門くんとドラマや舞台で共演した人もいるわけであって。
その度に何度羨ましいと思ったことか。
ずば抜けて綺麗なわけでも可愛いわけでもない私なんか…
正門くんの方を見れず、自然と俯いていた。

正「そんな言い方すると怒るよ」

『え…？』

正門くんをふと見ると少し悲しげな顔をしていた。
そして私の右手を包み込むように両手で握られる。

正「俺の好きな人のこと悪く言わんといて。俺にとってのAは世界で一番素敵な女性なんやから。笑ってる姿も眠そうな姿も少し不機嫌な姿も全部可愛くて仕方ないの。今やって自分に自信持ててない謙虚な部分も可愛いなって思っとる。多分Aが想像する何倍も好きなんよ、Aのこと。今は俺のこと好きやないと思うけど、頑張って振り向かせるから。やから…正門のことも少しは意識してほしい」

正門くんの思いが嬉しいと思うと同時に心の中がぽかぽかと温かく感じた。
次は恥ずかしさが気持ちを支配しはじめて、両手で顔を覆う。

(私の顔、今絶対赤い…顔が熱すぎる…)

正「え、そ、そんなに嫌やった…？迷惑やった、、かな」

『違うんです…その……すごく、嬉しくて』

正「…え？」

『わ、わたしも言いたいことあって…聞いてください』

正「うん…何でしょうか、？」

(正門くんが勇気出して言ってくれたんやから私も、、)

覆っていた手を退けて真っ直ぐ正門くんを見つめる。
何を言われるんだろう、と正門くんは不安そうな顔をしている。
この場から逃げ出したいくらい恥ずかしいけど、
このままだといつまで経っても前にすすまない。
ありったけの勇気を振り絞る。

『わたしも、前からずっと……正門くんのことが好きなんです！』