ぽや門に恋した姫 (ページ38)

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大晴くんと並んで歩く帰り道
さっきから何も話していないけど、それが逆に心地いい

(多分私から話を切り出すの待ってくれてるんやろうな…)

大晴くんはいつも私を気にかけてくれる優しい先輩でありメンバー。
正門くんとの話を一番聞いてくれるのは大晴くんだったりする。

『大晴くん、』

福「ん？どした？」

『私ね、、正門くんにキスされた』

福「…………ん？え、キス？今キスされたって言ったん？」

『うん、そうです……あ、でも口じゃなくておでこに』

福「そうか、、なんかあったんやろなとは思ってたけど想像以上やったな…ってかまっさん結構攻め始めてんのか？」

『せ、攻めてる？何が？』

福「や、こっちの話やから大丈夫やで(汗)」

それから、大晴くんが席を立ってから戻ってくるまでのことを詳しく話した。
誰かに話すのは恥ずかしかったけど、
正門くんの行動がよく分からなくて大晴くんに頼ってしまう。

『色々考えちゃうんよ。お酒の勢いやったんかなとか、妹みたいな存在やからそういうこともできるんかなとか。私ばっかり正門くんのことで悩んでる気がしてなんか嫌や…』

私が正門くんのことを好きでいればそれでいい。
付き合いたいなんて望まないからただ同じグループのメンバーとして一緒にいられればそれでいいって思ってたはずなのに。

いざ思わせぶりなことをされると、欲がどんどん湧き出てきて、
好きだって気持ちを止められなくてつらい。

福「こうした方がいいああした方がいいとかゆうことは俺から言えんけどさ、これだけは言っとく」

大晴くんは立ち止まり、真っ直ぐ私の目を見た。

福「まっさんは、酔ったからって誰にでもそういうことする人やない。正門良規にとって姫野Aは大事な存在なんよ。それは同期の俺が保証するから」

優しく、そして力強くそう言ってくれた。
その言葉に少し肩の荷が降りた気がした。

『はい、肝に銘じておきます(笑)』

福「よし！ええ子や！ほなはよ帰ろ〜」

『あ、そういえば居酒屋の会計全部大晴くん払ってくれましたよね？すみませんでした…』

福「ええよええよ。あとでまっさんに半額請求するから(笑)」

その日は大晴くんのおかげで笑顔で帰ることができた。
あとでコーヒーでも奢らないとな。