ぽや門に恋した姫 (ページ37)

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私のおでこから唇を離し、顔を覗き込んでくる。
そのたった数秒が私には長く感じた。

顔に熱が集まり真っ赤であろう私の頬をまた右手で包む。
そして親指で私の唇をなぞる。

正「次はこっちやな？」

『…………っ////』

とろんとしたその目から、何故か目を逸らせなくて
正門くんと視線がぶつかる。

私は正門くんに骨抜きにされてしまった。

バタッ

突然正門くんが倒れ込んできた。
いびきをかいているため寝てるんだろう。

でも今の私には正門くんを起こすことも
私に覆い被さるように寝ている姿勢を正すこともできなかった。

(なに、、今何が起こったん…？)

頭がまだ混乱して整理することができない。

ガラッ

福「おまたせ〜遅くなったわ、ただい……まっさん！？ちょ、何してんねん！！」

やっと帰ってきた大晴くんが私から正門くんを引き剥がす。

福「え？まっさん寝てるん？どゆこと？さっきの体勢は何？姫、何があったん？」

『……』

福「姫？姫ちゃん？ひーめーのー！」

『あっ、ごめん。ボーッとしてた』

福「……とりあえずここ出よか。一緒にまっさんタクシーで送ろ。そのあとに姫も送るから」

会計は大晴くんが払ってくれて、3人でタクシーに乗り込む。
大晴くんはタクシーに乗っている間、何も話さなかった。
ただじっと窓の外を見て考えている様子。

正門くんの家に着き、タクシーを降りて外で待つ。
正門くんは大晴くんが運んでいった。

『なんであんなこと…』

待つ間もさっきの正門くんのことばかり。

(お酒を飲むと甘えるって言われとるからそのせい、？)

福「姫、だいじょぶ？」

『大晴くん…もう正門くんはええんですか？』

福「ええんよ。飲み潰れたのはまっさんやし。…なあ姫」

『ん？』

福「酔い覚ましに歩いて帰らん？」

『…ふふっ、私飲んでないんやけど？』

福「やったら酔い覚ましたいから協力してや」

『うん、帰りましょっか』