445、八乙女 光 ページ24
「待ってましたよ〜、Aお嬢様。」
家のガレージに着くと、光君が車の前に立っていた。
『お待たせしました、光君。…もしかしてずっと立って待ってた?』
「いや、普通にさっきまで自室で待ってましたよ。」
そりゃあそうだよね…。
でも、もしかして…って不安になったから…。
光君変なとこで真面目だから…。
「失礼なこと考えてません?」
『そ、そんなことないよ?』
「…信じますよ?それはさておき…本当に良かったんですか?車内で。」
『光君といえば、専属運転手だし?専属運転手と言ったら車だし?ここが一番かなって。』
「間違ってはいないんですけど…なんのおもてなしもできないですよ…?」
『いいんだよ、お話ししにきただけだから。』
光君もだいぶフレンドリーな方だけど、やっぱり上下関係は気にするよねぇ…。
『まあ、今日はただお話しにきただけだし!もっと気楽でいいから!』
「気楽なお話じゃないでしょう?ご両親を説得して、山田と付き合うんでしょう?」
『…やっぱりすでに知念君から連絡届いてるんだね。』
「後半は俺の想像ですけどね。けど、俺らにも心の準備ってものがありますし。」
てことは私を呼び出して本音ぶちまけさせて、皆にも連絡済み…。
ちぃちゃん本当ハイスペックだなぁ…。
…ハイスペックとか通り越して末恐ろしいや…。
「まあ俺はそんなに心配してないんですけど。」
『光君メンタル強いもんね。』
「そうですけど違うじゃないですか…。なんて言ったらいいんですかね?俺、頭良くないから上手く言えないんですけど…。
Aお嬢様と山田って、なんだかんだいろいろあったけど乗り越えて来たじゃないですか。今回も、結構な無理難題な気もしますけど…Aお嬢様と山田ならなんとかしちゃうんじゃないかって思えちゃうんですよ。」
『上手く言えてるよ光君。』
「そんな冷静なツッコミで返されることあります?」
割りと真面目な話したんだけどなぁ…と呟く光君。
光君といるとつい面白くしようと思っちゃうんだよね。
『…でも、光君そんな風に思っててくれたんだね。なんか…すごく、嬉しい。』
「俺も薮程じゃないけど、昔から二人のこと見てるから。…頑張れよ、A。」
光君はたまにタメで話すこともあったけど…今日のは、すごく心に響いたなぁ。
…最後は彼に会いに行きますか。
…ずっと昔から、私達を見守ってくれてた人のところへ。
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作者名:さくらもち | 作成日時:2017年5月10日 18時