5-44 「各々の愛、唯それだけ」 ページ46
ジェシーside
その時、扉が音を立てて壊れた。
焦った顔の佐久間くんに大我。
これは大我が指揮してるんじゃないの？
なんで、大我はそんなに動揺してるの？
なんとも言えない疑問が脳内を飛び交う。
「おい！樹。
今すぐ辞めさせろ。
このままじゃ北斗が死んじゃう…
それに…北斗は…」
「今更やめろって言われたって、
北斗はきょものことを何もわかってない。
きょもがいかに北斗を今まで守ってきたのか、
それを知ろうとしない。
きょものこと裏切ってジェシーと仲良くして…
俺が得たいはずのきょもの寵愛を一新に受けて…
うざいんだよ。
北斗がいなくなったら俺のこと見てくれるんだよね。きょも。」
大我に触れようとした樹の手を大我は勢いよく払う。
乾いた手と冷えた空気が響く。
「バカ！
一番わかってないのは樹じゃんか。
俺は北斗のことを一番に大切にしてる。
それは間違いない。
でも、樹のことも大切にしてる。
でも、一番は一番なんだ。」
俺はもうすでに北斗を捕食している。
北斗が助かる道はもうない。
北斗に、このまま衰弱して死ぬ以外の選択肢はない。
「ねえ、ジェシー。
一人だけ蚊帳の外みたいな表情してるけど、
ジェシーも死ぬよ。」
「はっ？」
「ねえ、この状況で気づいてないの？
北斗、蛾だけど。」
北斗は蝶って言ってたじゃないか北斗。大我！！
蝶ごときが蜘蛛を騙すなんて小賢しい。
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作者名：蕾華 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pandaraiyu1/
作成日時：2020年12月3日 22時
