今はまだ叶わぬ恋 2【佐野玲於】

お見通し ページ9

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約束の時間に事務所へ行って、そこでたまたまトレーニング終わりの龍友くんに鉢合わせた。





龍友「あれ、玲於今日オフちゃうん？」





「オフなんだけどさ、用事あって...」





龍友「なんやなんや！」





ニヤニヤしながらめっちゃ聞いてくる。
めっちゃ睨んでるんだけど、そんなのお構いなしにニコニコ笑ってる。龍友くんメンタル強いな。






龍友「バレバレやでぇ！優香さんやろ？」





って満面の笑みで茶化してくる。
まあ、当たってるんだけど。メンバー内で広まったらまたいろいろ深掘りされるから、めんどくさいんだけど。





「まあ、ここだけの話にしといて。」






龍友「ここだけの話にしとくわ！優しいやろ！」






そんなのも一瞬でバラされるんだろうって思った。龍友くんはやっぱり手強い。女のことに関しては全て見透かされる。




龍友くんからやっと離れられて、会議室の前で優香さんを待ってた。どんな顔して待ってればいいんだろう。





優香「お待たせ〜！」





優香さんは笑顔だった。


それに合わせて、普通の顔してれば大丈夫だ。って思った。





優香「代官山だっけ？近いから、歩く？」





「ん。じゃあ、歩きましょう。」




優香「あ、でもバレたりしない？ファンの子とかに。」





「大丈夫っすよ。いつもこの辺歩いてるけどあんまり気付かれないので」






優香「そっか。じゃあ、せっかくだし歩こっか。」




大通りから少し入った、目黒川沿いを歩いてたところ。なんか、聴き慣れた声がするなって思って、



目を凝らして見たら、Aが友達といた。





A泣きそうになってる。どうしたんだろう。

優香さんは気づいてないみたいだし、話しかけない方がいいか。








え。待てよ。


今日って仕事が夜まであるから、Aの誘い断ったんだっけ。忘れてた。サイテーな野郎じゃん、俺。





だからAいつもと様子が変だったし、泣きそうだったんだ。


んで、その後どっかの角曲がって、俺らが来る前にすれ違わないようにしてた。








優香「ボーッとして。どうしたの？大丈夫？」



「あ、全然大丈夫っす」




優香「最近、ジェネ本当に忙しいよね。それに伴って私も忙しいけど。変に気使わなくて大丈夫だよ。」



気がついたら、無意識にボーッとしてた。



優香さんが、そう慰めてくれたけど、

それどころじゃない。あいつのこと、傷つけた。



そんなことで頭がいっぱいになった。






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