今はまだ叶わぬ恋 2【佐野玲於】

伝わらない ページ12

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ヘアメイクだから
仕事の時は基本帯同で付いてきてたし
昔からアピールとかできるタイプじゃなかったし。
よく顔に出るって言われるけど、
それだけじゃ、全然伝わらなかった。




優香さんを超える人なんて、いない。






ずっとずっとそう思ってた。





優香「自分の気持ちに正直になってみて。」




「俺は優香さんのことずっと好きで、でも優香さんにはそんなの到底言えなくて、やっと今日言えた。」




優香「私も好きなんだよ、大好きなんだよ、玲於くんに想われてるなんて、思いもしなかった。」



「はい、」



優香「でも、」



「でも？」



優香「玲於くんが私のこと好きだったとしても、私から見える玲於くんは他の人が好きだって」



「いや、俺は…好きなんで。本気で」



「優香さん、俺のものになってくれますか？」





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優香「なれるものなら、なりたい。でもね、
玲於くん、お願いだから早く気づいてあげて、玲於くんの好きな人、私じゃない。」









「全然分からないです、自分の中には優香さんしかいない。」





優香「今日だけ、玲於くんのものになるよ。そのうち、気付くから。約束ね。」






まだちょっと言ってる意味が分からなかった。






タイミングを見計ってなのか、ウェイターがやってきて、食後のコーヒーと焼きプリンが出された。







このコーヒーはいつもより、何倍も苦く、自分の大好物のプリンも。カラメルが苦く感じた。






今日だけ、優香さんは俺のものになる。







優香さんは哀しそうで、何だか少し嬉しそうだった。好きな人が幸せってこんなに嬉しいんだ。




お会計はもちろん、俺が出した。
男だから、そういうところでは頼られたい。




優香「美味しかった。玲於くんに気持ち伝えられたのが、このお店で良かった。」





「自分も嬉しかったです。」





優香「そう。じゃあ、帰ろっか。」






その一言が、もう言われる気がしなくて
これで最後なんだって
そのとき俺にはまだ分からなかった。







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