好物頂上決戦【月島 蛍】

パズルのピース。 ページ30

.







結局次の日になっても、私は昨日の月島の様子が気になっていて。

でも、本人に聞けずにいた。前に、もうこの話しないで、って言われたからなあ…






「あれ、月島。スイカもう食べないの」

「うん。ごちそうさま」

「いやもう一個くらい食べなよ。はいどうぞ」

「有無を言わさずにスイカ差し出さないでくれる？」






いりません。と両手で返品されてそのままスタスタと歩いて行った。ちぇっ。





「(人1)、皮捨ててもいい？」

「おっ山口くん。どうぞ〜。まだ食べる？」

「いや、俺ももういいかな」

「何だよ〜。もっと食えよ男子高校生〜」







山口くんはそう言った私に、

(人1)じゃないんだからそんな食べないよ、って言った。あれ私バカにされてる…？


失礼な、と言おうとした時、

山口くんはおずおずと口を開いた。







「(人1)は、ツッキーのことどう思ってる？」

「えぇそれ今更聞いちゃう？嫌いだけど？」

「あ、ごめん言い方間違えた。バレーのことで」

「…何で本気でやらないんだろうな、ってちょっと思ってる」






空を仰ぎながらそうポツリと言った私に、

山口くんは俯いて、







「…ツッキーには、お兄さんがいるんだよ」

「お兄さん？」

「…(人1)のお兄さんと、同い年の」

「！」






山口くんはその後、月島のお兄さんについて話してくれた。



お兄さんは、中学ではエース的な存在で、月島の憧れの存在であったこと。


烏野のバレー部に入って３年。エースだ、と言っていた兄。


でも、応援に行けばコートに兄の姿はない。



エースは、170センチ台の２年生。








そして、観客席で応援している、兄と目があった。









「ツッキーは、バレーはちゃんと好きなんだよ。

でも、あの件があってから消極的になって…

お兄さんとも、その件があってからはギクシャクしてるみたいだし」









『ちょっと羨ましい』



『…ねぇ、あの人年いくつ』









「…そういうことだったんだ」




パズルのピースが当てはまったように、私の頭の中で答えが出た。



月島は私の兄を見て、無意識に自分の兄と重ね合わせていたのだ。


そして、理想も。





日向に対して苦手意識があるのも理解した。








「私、月島に話してくる」


「…(人1)はさ、ツッキーのこと嫌いっていう割に面倒見いいよね」






「…嫌いだけど、憎いけど、







私は月島を信じたい」









空を仰いだまま、私はそう答えた。

単純な答え。→←雲隠れする月。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す