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「まず最初の曲は、『Ready Steady』です」
冬弥の言葉を合図に、ステージが暗くなる。
冬弥は目を閉じて、曲が始まるのを待った。
ステージが明るくなったと同時に目を開く。
そこからはただ、ずっと歌に浸るだけだ。
客席をぐるりと見渡すと、どこか霞がかった頭でぼんやりとAを認識した。
「(…江夏、そこにいたのか)」
今彼女の瞳に映っているのは、自分だけだ。
だって、どこにいても目が合うから。
「(俺を、見ているのか…)」
『青柳くんのこと、ずっと見てるね』
ふと、Aの言葉を思い出した。
思わず冬弥の口角が上がった。
そして冬弥は右手の人差し指をAに向けた。
真っ直ぐに、届くように。
「(そのまま、俺の歌を…)」
「(俺だけを、見ていてほしい)」
指に気づいたAの視線と冬弥の視線が交わった。
その瞬間、冬弥は自覚した。
「(ああ、俺は…)」
「(江夏が、好きなんだ)」
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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時