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そこは、どこか別の ページ21

初音ミク、それは世界中のクリエイターが想いを託す、バーチャルシンガー、『VOCALOID』の中で最も有名と言っても過言ではないだろう。


冬弥は、そんなバーチャルな存在であるミクが自分と会話していることに対しては(・・・・・・・・・・・・・・・・)驚いていなかった。


なぜなら、もう既に冬弥は会っていたからだ。違うセカイの、自らのセカイの初音ミクに。


「…ここは、いつものセカイではないのか?」


「うん、違うよ。ここはキミたちの知ってるセカイじゃない、別のセカイ」


『セカイ』、それは人々の強い想いが形になった場所。


冬弥達、Vivid BAD SQUADのメンバーもまた、彼等のセカイを持っていた。


ストリートのセカイ、そこが冬弥達のセカイであったはずだ。


しかし今、冬弥の目の前には全く知らない光景が広がっている。


ましてや知らない姿のミク、冬弥がここは別のセカイだと考え着くのに時間はかからなかった。


「なぜ俺はこのセカイにいるんだ?」


「キミは、あの子に選ばれたの」


「…選ばれた?」


「うん。このセカイの持ち主にね」


冬弥の目を見て話すミクの瞳を真っ直ぐ見つめ返す。


「一体、誰が」


「あ、もう時間みたい」


冬弥の問いは周りの眩い光に遮られ、ミクの声が響く。


「私は待ってるよ。キミとあの子を、このセカイで」


そう微笑むミクの顔を最後に、冬弥は眩しい光に包まれて思わず目を閉じた。



目覚まし時計の音で目を開けた。


冬弥は元の自室にいた。服装も寝衣のままだ。


まだ覚醒しない頭で考える。


「(何か、夢を見ていたような…)」


夢の内容は頭に靄がかかったように思い出せずにいた。


「(…支度をしよう)」


もやもやする頭で冬弥はゆっくりと支度を始めるのだった。

第3章 浮上する泡→←空の檻



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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時

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