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「江夏の家はどこなんだ?」


「えっと、もうちょっとしたら着くよ!青柳くんは?」


「俺は…」


冬弥はふと周りを見る。


そして重大な事に気づいた。


「(…気がつかなかったな)」


話しながら歩いていたので、いつの間にか反対方向まで来ていたのだ。


「…すまない江夏。いつの間にか反対方向に来ていたみたいだ」


「え、本当!?ごめんね付き合わせて!」


「いや、いいんだ。今日は時間もあるからな」


「本当にごめん!今日はここで解散にしよう?」


ばいばい!と手を振って急いで帰ろうとするAの白くて細い手首を冬弥は思わず掴む。


冬弥は考えるより先に言葉が出ていた。


「待ってくれ!家まで、送らせてくれないか?」


「え、いいよ!申し訳なさすぎる…」


「俺がしたいんだ。嫌、だろうか?」


「い、嫌な訳ないよ!でも…」


それでも渋るAの手を掴み少し強引に引いて、冬弥は雪の家の方面へ歩き始めた。


「あ、青柳くん!」


しばらく無言で歩き続けていた冬弥はAの声ではっと我に返る。


「す、すまない!急に手を掴んだりして…」


ぱっとAの手を離し、慌てて謝る冬弥。


「ううん。びっくりしただけだから気にしないで!」


優しく笑うAに罪悪感が芽生えた冬弥はしょんぼりとしながらもう一度謝罪した。


「…すまなかった」


「ほんとに気にしないで!」


ふと顔を上げた冬弥とAの視線が交わり、しばらく互いの目を見つめる。


「「…」」


そして2人同時にふっと吹き出し、クスクスと笑った。


「…ふ、ふふっ。何やってるんだろ私達…」


「…そうだな、ふっ」


しばらく笑っていると、冬弥が笑いながら言う。


「…やっぱり、送らせてくれないか?」


「…いいの?」


「ああ。もう少しだけ…」


「もう少しだけ…?」


「…いや、なんでもない」


冬弥は、その先の言葉を飲み込んでAに笑いかける。


Aもそれに応える様に笑った。


その瞬間、先程よりも近くなった2人の肩を押す様に、風が吹き抜けていった。

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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時

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