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「…ね、たまには一緒に帰らない?」


まだ少しだけ赤い顔でAが声をかける。


「…ああ」


冬弥もまた、ほんのり赤らんだ顔で頷いた。


冬弥とAは校門を出て並んで歩く。


2人の肩の間を通り抜ける風が心地よい。


「…前から聞きたかったんだけど、毎回来て練習とか大丈夫なの?」


「ああ。練習の時間に合わせて帰っているから大丈夫だ」


「そっか。ならよかった」


「…もし都合がつくなら今度、ライブに来てくれないか?」


「え、青柳くんのライブ?」


「ああ。俺の、と言うよりは俺がいるチームのだが」


理由は分からないが、冬弥は内心緊張していた。


「…うん。折角だし行ってみようかな」


「そうか…!次のライブはまだ決まっていないんだが、決まったら教える」


「おっけー!そういえば青柳くんと連絡先交換してなかったよね?」


いつも音楽室に行けばいるので連絡先を交換するという考えが頭から抜けていた冬弥。


「そういえばそうだったな」


「なら交換しよ!ライブの日決まったら教えて!」


「ああ」


Aはスマホを取り出し、トークアプリのQRコードを見せる。


冬弥はそれを読み込み、Aのアカウントを追加した。


"えなつなつ"と画面に表示されたのを見て冬弥の口角が上がる。


「…このアイコンの犬は?」


「家で飼ってるの。名前はムギ!」


「可愛いな」


「でしょ!」


笑顔が絶えないAを見て、冬弥は心があたかかくなるのを感じた。


それは友人として仲良くなれたのが嬉しいのか、それとも別の感情なのか。


冬弥自身も分からなかった。

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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時

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