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「…Aじゃねぇか。何してんだよ」


「彰人こそ、青柳くんと知り合いだったんだ」


「いや、お前こそ知り合いだったのかよ」


「彰人には内緒ー」


んべっと舌を出していたずらっ子の様な顔をするA。


随分と親しげに話す彰人とAに冬弥は驚きを隠せなかった。


「(俺が見たことの無い表情だ…)」


彰人は学校で、いわゆる"猫かぶり"をしている。


しかし気を許した相手や通用しない相手にはそれをしない。


気を許してる良い例は冬弥やチームメンバーなどだ。


そんな彰人が"A" "彰人"と名前で呼び合い、素を出して話をしている。


冬弥はそれを見て言い表せない感情を持った。


ずきり。


自身の胸の痛みに、冬弥は気づかない。


「…?」


「っと、そろそろ時間だな。…冬弥?」


ボーッとしていた冬弥を見て、声をかける彰人。


「っ、すまない」


何故か居た堪れない気持ちになり、冬弥は足早に自身の教室に戻った。


「あ…」


Aが冬弥に手を伸ばすも、その手は空を切った。


「悪いことしちゃったかも…」


「…あいつのあんな顔初めて見たな」


「え、どんな顔?」


「お前には言わねぇ」


先程の仕返しのように彰人はべっと舌を出してAを見るのだった。

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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時

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