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玄関に行き、靴箱から靴を取り出すと、相棒の姿が目に入った。


「お、冬弥」


「彰人」


「あれ、今日委員会か?」


「…?いや、違うが、何かあったのか?」


「いや、お前が委員会以外でこの時間まで残ってるなんて珍しくねぇか?」


「…そうだろうか?」


「オレはサッカー部の助っ人行った帰りだし、かなり時間経ってるぞ」


いつの間にかA長い時間過ごしていたらしい。


「何してたんだ?」


「(そうだ、彰人にも江夏の事を話して一緒に歌えばいい刺激を受けるかもしれない)」


冬弥は早速彰人にAの事を話そうとする。


「あき…」


その瞬間言葉が詰まり、冬弥は何も言えなくなった。


「…?」


「どうした?冬弥」


「(俺は、今…)」


「…言いたくないなら別に無理に聞かねぇよ。そろそろ練習行くか」


彰人はそれ以上聞かずに玄関から出た。


冬弥は自分の行動に疑問を持っていた。


「(俺は今、"嫌だ"と思ったんだ…)」


自分の想いを確かめる。


「(江夏の事を、彰人に話すことを…)」


答えを、探す様に。


「(…何故だ?)」


「冬弥ー?」


彰人の声で冬弥の意識は現実に戻される。


「(今はまだ、このままで)」


それ以上踏み込む事が怖くなった冬弥は、振り払う様に相棒の背中を追った。

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作者名:レノ | 作成日時:2022年5月7日 23時

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