追憶にかられる ページ47
「命令よ。」
さすがのアドムもこの思いもしなかった展開にことが進んでいくため、少し動揺する。しかし、心の中で歓喜しているのは言うまでもなく、アドムはゆっくりと彼女の背中に手を回した。
「お嬢様、僕なんかでいいんですか?」
そうアドムは言った。これは彼のいつもの決まり文句のようなものだった。この言葉を言えば、大抵の女は貴方のことが好きだからいいの。と甘いセリフを返していたが、彼女は違った。
「勘違いしないで。貴方だからってわけじゃない。誰でもいい。私のこの寂しさを紛らわせてくれるなら……」
アドムは、そんなことを言われると思ってなかったため、一瞬だけ…は?と思ったがすぐにこの関係も面白そうだ。と思い直した。この何も生まれないであろう乾いた関係を。
アドムはAを抱きしめたまま耳元で囁く。
「かしこまりました。Aお嬢様の寂しさを快楽で埋め尽くして差し上げます。……満足させてやるよ。」
こうして、二人の美しく、不純な関係が始まったのだ。
アドムとの懐かしい記憶。暗い部屋の中、天井を見上げながら彼女は古い記憶を自分の頭の中のタンスにしまった。涙はすっかり枯れてしまい、頬を伝った涙の後だけが残っていた。
「………アドム。私には貴方が必要なの。」
再び彼の名前を呼ぶ。勿論返事はない。枯れたはずのあつい涙が頬を一筋に滑り、涙の後を上からさらに濃く引いていった。
Aは“大切な人は失ってから分かるもの”と書いてあったとある小説を思い出した。彼女はそれに自分を重ね合わせていた。
彼女は、もうとっくに気づいていた。自分にとってアドムは執事という存在ではなくなっていることを…。もっと、もっと大切な存在であることを…。きっとアドムも自分と同じ気持ちだからあんな風に起こったのではないか?と彼女は思った。
「謝らなくちゃいけないわ…。」
何をどんな風に謝るのかはわからない。けれど、今すぐ彼の元へ行って話したいと思った。早く彼の元へ行かないと…。
呼び鈴で呼ばずに、ちゃんと自分から話しにいこう。と考えたAはアドムの元へ行くために立ち上がった。
暗い、暗い廊下を走った。手に持った弱いロウソクの灯りを頼りに急いだ。そロウソクの灯りを闇が飲み込もうとしているのに気づかずに…。
夏休み終わりましたか?夏休みの宿題は終わりましたか?私はギリギリ終わりました。(゜ロ゜)
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もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» 学校はじまると何かと忙しいですからね(´-ω-`)麗華さんも暇なときでいいので見に来てくださいね~♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» いえいえです(*・ω・*)学校始まっちゃいましたもんね…やだなぁ(笑)第一章完結お疲れ様でした!番外編も第二章も楽しみにしてます♪ (2015年9月5日 23時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございますっ!(っ´ω`c)更新ペースはこれから少し落ちると思いますが、よろしくお願いします。まだまだ序の口ですから、第二章ではもっとドロドロにしていきますよ~(`・ω・´) (2015年9月1日 7時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - もなか@中身はこしあんさん» 「私が来てない間にかなりお話が進んでいる(;°Д°)」とビックリしました(笑)折角なので最初から読み返してみました♪途中で感動して泣いちゃいました…これからも更新楽しみにしてます^^波乱の第二章に突入だ!((黙r (2015年8月31日 16時) (レス) id: 525612bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - しゅうさん» 素敵だなんてっ…そんなっ…(*゜д゜*)とっっても嬉しいです!!ありがとうございます! (2015年8月13日 2時) (レス) id: 42910bbd46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2015年5月30日 19時