転生者の目覚め 其の五 ページ6
貴「作兄…聞いてくれぬか。僕には前世の記憶がある。」
作斗は僅かに目を見開いた。珍しく驚いているらしい。
貴「僕は前世ではポートマフィアという組織に属し、多くの人間を殺した指名手配犯だった。
その世界には個性ではなく異能力というものが極わずかな者にのみ存在し、僕の羅生門もその内の一つだった。
そして、二十歳のある時、戦場で兄と妹を庇って戦死した。」
色々掻い摘んだ所もあるが、僕の全てを作斗に伝えた。
罵倒されるだろうか。何故今まで隠していたのかと。
軽蔑されるだろうか。人殺しの悪人だと。
それでも構わない。何を言おうとこれは事実で、人を殺すことは僕にとって日常茶飯事。
僕の本質は紛うことなき《悪》なのだから。
けれども。
作斗に嫌われたまま今生の別れを交わすのは。
悲しいと思ってしまった。
くしゃり
一度離された作斗の手が再び僕の頭を撫でた。
作「そうか。兄妹を庇って死んだのか。頑張ったな。」
貴「…こんな
作「個性っていう能力が存在するんだ。有り得ない話じゃない。」
貴「……僕は、人殺しだぞ。」
作「そんな生き方でしか生きてこれなかったかもしれないだろう？」
貴「………作兄を騙していたのだ。」
作「だから難しい言葉遣いだったんだな。それでも、俺は楽しかったぞ。」
貴「…………僕は…」
作「お前は俺の可愛い妹だろ。」
作斗のその言葉を皮切りに、僕の瞳からは大粒の涙が溢れ出した。
僕は、この世界でも素晴らしい兄を持っていたのだ。そして、その兄と別れねばならない。
その事実が悲しくて、作斗を死に追いやった両親に酷い憎しみを抱いた。
作「A、お願いだ。羅生門で俺の個性を食べてくれないか。」
貴「！…何故だ…」
作「俺の個性は成長させることの他にもう一つの使い方がある。それは進化させることだ。
これをお前の羅生門に喰わせてやりたい。そうすれば、非力な俺でも少しはお前を守る力になれるだろう？」
貴「羅生門に成長と進化の力を与えて殺戮以外の能力を得られるようにするということか？」
作「あぁ、そうだ。」
貴「なるほどな。羅生門は経験を得る度に成長と進化を繰り返し、本来とは別の力をも扱えるようになる。」
作「そういうことだ。」
矢張り兄は優秀だ。こんなこと普通は思いつかない。
貴「作兄、最後に僕の話を聞いてくれないか。」
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十七夜(プロフ) - お答えします。主人公の芥川妹は文ストの世界から来たいわば転生者です。文ストでは少し難しい漢字や言い回しをするのと、転生者として他のキャラクターと違いを出そうと思ったからです。これからもよろしくお願いします。 (2019年5月11日 9時) (
レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - はじめまして！この作品すごく私好みの作品です！一つ質問ですがヒーローをヒーロォと書いているのはなぜですか？ (2019年5月11日 2時) (レス) id: 1a55ee5e7b (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - ありがとうございます！楽しんで頂けるように、これからも頑張って更新していきます！ (2019年5月6日 19時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです！文ストもヒロアカも好きな、自分にとってはもうご褒美としか、言いようがないです！ありがとうございます。更新がんばってください！応援しています！ (2019年5月6日 17時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 雫さん» 応援ありがとうございます！一人称がやつがれな無自覚系男装女子が書いてみたかったのです。これからもよろしくお願いします！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十七夜 | 作成日時：2018年11月10日 17時
