転生者の目覚め 其の四 ページ5
ある日、両親に羅生門を見られた。
両親は羅生門を見て喜んでいた。
『ヒーロォ向きの強個性』だと。
父と母は《個性婚》だった。
それからは両親の僕に対する態度が変わった。
猫撫で声で寄ってきてベタベタと馴れ馴れしい。
何も無い時でも僕の名を呼んで近くに居るため煩わしいことこの上なかった。
家に居る頻度も増し、作斗と一緒にいる時間が減った。僕は作斗と過ごす、静かな家が好きだった。
それだけならばまだ許せた。
あろうことか両親は作斗への虐待を始めたのだ。
故意に僕と作斗が一緒にいる時間を減らし、作斗に暴力などの危害を加え始めた。
兄の個性は《成長》
あらゆるものの成長を促し、次の段階へと昇華させる。
例えば植物の種にこの個性を使えば、種は一気に発芽し花を咲かせ実を結ぶ。
怪我をしたとき、患部にこの個性を使えば傷ついた細胞が成長を始め、傷口が塞がる。
ところが、強個性の子供が欲しかった両親にとって兄の個性は期待外れだったらしい。
それで僕が強個性を持っていると知った途端、作斗をお荷物と見なしたのだろう。
僕は小さく惰弱な体を必死に使って兄を守った。
滑稽に見えるかもしれないが、僕を育ててくれたのは実質この作斗だ。
僕はきっと絆されてしまったのだろう。
だが、それでも構わなかった。
この世界で家族と呼べるのは作斗だけなのだから。
だが、そんな僕の抵抗も虚しくその日はやってきた。
朝、目を覚ました時にいつも隣に居るはずの兄がいなかった。
僕は、前世で織田が死んだ時のような胸騒ぎを覚え家中を駆け回り作斗を探した。両親は居なかった。
作斗が居たのは僕の部屋から離れた、玄関に近い部屋だった。
貴「作兄……」
作斗は虫の息だった。龍之介と銀も死に際の僕を見た時はこのような心境だったのだろうか。
胸が張り裂けそうなほどに痛い。
作「…A？」
虚ろな空色の瞳が僕を見る。
貴「頼むから…死んでくれるな。僕にとって作兄は…たった一人の家族なのだ…」
作斗が僕に手を伸ばす。その手は横たわった作斗の傍らで座ったまま俯いている僕の頭に乗せられた。
作「A…バイバイだ…俺は多分…もう助からない…」
優しく頭を撫でる作斗の手が優しくて。
涙が出そうになった自分を情けなく思った。随分と歳下の小童に泣かされてどうするのだ。
どうやら作斗とは別れねばならないらしい。
この際、僕の前世を話すことにした。
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十七夜(プロフ) - お答えします。主人公の芥川妹は文ストの世界から来たいわば転生者です。文ストでは少し難しい漢字や言い回しをするのと、転生者として他のキャラクターと違いを出そうと思ったからです。これからもよろしくお願いします。 (2019年5月11日 9時) (
レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - はじめまして！この作品すごく私好みの作品です！一つ質問ですがヒーローをヒーロォと書いているのはなぜですか？ (2019年5月11日 2時) (レス) id: 1a55ee5e7b (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - ありがとうございます！楽しんで頂けるように、これからも頑張って更新していきます！ (2019年5月6日 19時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです！文ストもヒロアカも好きな、自分にとってはもうご褒美としか、言いようがないです！ありがとうございます。更新がんばってください！応援しています！ (2019年5月6日 17時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 雫さん» 応援ありがとうございます！一人称がやつがれな無自覚系男装女子が書いてみたかったのです。これからもよろしくお願いします！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十七夜 | 作成日時：2018年11月10日 17時
