天才科学者の憂鬱

5-デート(夢主) ページ6

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結局すごく高そうな鞄をプレゼントされてしまったし、高級なレストランでも奢ってもらってしまった。

私は何度も拒否したが、「この間のお詫びだよ」の一点張りだった。

食事は美味しかったけれど、高級レストランでは落ち着けないので、帰りに庶民向けのカフェに寄った。

そこで楠雄くんのことをどう思っているのか聞かれたが、特にそんな思うところもないので、ツンデレなところもあるけど、普通に優しくていい友達だと答えた。

そうしたら空助さんは、何も分かってないというような呆れた顔で大きく溜息をついた。


「楠雄はね、特別なんだよ。君達みたいな凡人とは次元が違うんだ。」


ブラコンか。

弟が友達にどう思われているのか気にするなんて、兄らしいところもあるのだなと思った自分が馬鹿だった。


「…僕は小さい頃からどうやっても楠雄には勝てなかった。だから努力した。凡人にできる最大限の努力を…でも勝てなかった。」

「……え」

「だからケンブリッジに行ったわけだけど…まだ僕は諦めてないよ。いつか絶対に楠雄に勝つ。勝たなきゃいけない。
僕が…終わらせなきゃいけないんだ」


そう言った空助さんの瞳は真剣だった。

なんだろう、もっと…軽くて傲慢な人かと思っていたけれど、きちんと努力をしてきた人なんだなと思った。

飄々としていて、捉えどころが無いけれど、ちゃんと色々と考えていて、未来を見据えている。
細かいことは分からなかったけど、そんな印象を受けた。



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