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月恋 第150話 「知ってましたとも」 ページ8

「それじゃあ、またね!」

「風邪が治ったら他の皆も連れて遊びましょうね?」

そう言って雪さんと千桜さんは此のツキノ寮を後にした。

パタリと扉が完全に閉められたことを確認すると同時に私は自身の顔を両手で覆い、深い深いそれはもう深海の底まで届きそうなくらい深い溜め息を吐いたのである。

「はァァァァァア…………尊い」

そして一言、ヲタク専門用語としてよく耳にする言葉を呟いた。

推しユニットの面々が拝み倒したいレベルで尊い。

千桜さんの手が自分の頬に触れたと思うだけで、もう頬を洗いたくないと思ってしまう私は変態かもしれない。どうしよう。

まだ熱を孕む頬に、ちょんっと人差し指だけ柔らかく触れる。

先程の出来事が脳裏に過り、ボフンッと爆発させるかの様に先程よりも遥かに顔を赤くさせる。

今日は嬉しさと恥ずかしさに頭を悩まされ、心を掻き乱されて眠れないかもしれない。

一人、自身のベッドの上に座り込みながら悶々とそんなことばかり考えていてふと思い出す。

雪さんと千桜さんだけでなく、此の場に海さんも居たことを…………

恐る恐るベッドから少し離れた位置に置かれた腰掛けの方へと目を移す。

そして絶句。

小さな椅子に座りながら、仏の様な笑顔を浮かべて此方を微笑ましそうに眺めている海さんの姿が其処にはあった。

サーッと全身の血の気が引く。先程まで血液が沸騰するのでは無いかと疑うくらい熱かった体が嘘のように寒くなる。

暦屋 A、14歳。白状します。

「海さんの存在をすっかり忘れていました。ごめんなさい」

「おう、知ってた!」

「ですよね!」

この時の海さんのキラキラ笑顔を私は一生忘れられないだろう。

月恋 第151話 「みんなの兄貴分最高説」→←月恋 第149話 「スター気質」



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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います!お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します! (2018年11月5日 18時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです! このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています!! (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年4月15日 23時

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