月恋 第146話 「図星」 ページ4
「俺、コンビニ行ってくるけど何か要るものある?」
学校が終わり、今日は何も予定が入っていないからと真っ直ぐ寮に帰った。
その後共有ルームで本を読んでいる途中、やっぱり何かお菓子を買って来れば良かったと後悔し、散歩がてらコンビニへ行こうと席を立った。
「葵さん、俺もお供します!」
「俺も俺も!」
丁度課題を終わらせたばかりの駆が勢いよく手を上げる。それに便乗して恋も着いて来ようとするが――――
「お前はまず目の前の課題を終わらせてからにしろ」
「アイタタタタッ! 始さん痛い、ギブです! ギブギブッ!」
英語の課題が終わっていなかったみたいで、始さんお得意のアイアンクローを食らっていた。
「おー、こいっくファイトー!」
「賑やかですね」
たまたま遊びに来ていた兎川 千桜ちゃんと花園
雪ちゃんがそれを眺めて笑みを溢す。
此処までちょっと珍しい人が居るけれど、何時も通りの日常風景。
今日も何時もと変わりない時間が流れているなと思っていた時、ドタドタと廊下の方から大きな足音が聞こえてきたのである。
「ちょっと頼みがある!」
そしてバタンッと音を立てて扉が開き、何処か焦っている様子の黒月さんが飛び込んできた。
何事かと俺も他の皆も、黒月さんに視線が集中する。
「どうかしたんですか?」
始さんが今此処に居る全員の言いたいことを代弁するかのように、あくまでも冷静さを保ちながら黒月さんに訪ねる。
「Aが高熱出して今、病院行って部屋で寝てる。俺はこれから陽を迎えに行くから、誰かAの様子を見ててくれないか? 寝てるとはいえ、熱が思ったよりも高くて一人にするのは心配なんだ」
Aちゃんが風邪を引いたと聞き、俺も皆も動揺と心配の色を見せる。
「じゃあ、私と千桜が見ています。幾ら同じ寮で生活しているからと言っても、Aちゃんは女の子。殿方が女の子の部屋に無断で入るのはどうかと思いますし」
すくッと雪ちゃんが立ち上がり、真面目な彼女らしい意見を述べた。
それと同時にソファに座っていた新が、彼女の一言にピクリと肩を揺らして反応する。
新の様子を見て、直ぐ様彼がAちゃんの部屋にノックをしたは良いものの、返事を待たずに扉を開ける姿が想像できた。
ああ、無断でAちゃんの部屋に入ったことあるんだなァ。新らしいけど、後で叱っておこう。
月恋 第147話 「沸騰石プリーズミー」→←月恋 第145話 「高熱」
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います!お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します! (2018年11月5日 18時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです! このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています!! (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年4月15日 23時