月恋 第168話 「キュン死寸前」 ページ26
日が沈み始めて段々薄暗くなってきた頃に待ち合わせ場所である神社の前まで辿り着いた。
もう他の皆さんは到着していて、赤々と薄暗くなってきた道を照らす提灯の下でそれぞれの相方と話をしながら待っていてくれた。
「お待たせしました」
葵さんが爽やかな笑顔で片手を上げながら、キラキラと輝かしいオーラを発する美形集団に躊躇いもなく声を掛けた。矢張り皆さん、各個人のイメージカラーを基準とした浴衣を着てるため、遠目からでもかなり目立つ。
それだと言うのに、あの美形浴衣集団がこの人混みの中、周囲の注目を浴びて騒ぎになっていないのは、隼兄のおまじないのお陰と言えよう。本来ならば、大騒ぎである。
「やあ、待ってたよ」
爽やか王子の笑顔をものともせず、同じく爽やかながらも何処か艶めいた大人の笑みを返してくる春さんは強者である。
「Aちゃん、浴衣とっても似合ってるよ」
その殺傷力の高い笑顔を此方に向けられ、止めの一言を貰い私の心はキュン死寸前だ。
まだ十代の大学生だと言うのに、格好良くて紳士的な雰囲気を醸し出しつつも、それと同時に大人の色気を纏う春さんはずるい。
「私が春さんだったら、絶対その格好良さと色気を武器に愛さんを口説いてた………来世は春さんになりたい」
「突然どうしたのAちゃん!」
「春に生まれ変わるのはやめとけ。後悔するぞ」
「始は相変わらず俺に対して容赦ないよね!」
浴衣姿の春さんの圧倒的艶やかさを前にし、両手で顔を覆い世迷言を口にする私に戸惑いを隠せない春さんと、そんな春さんに通常運転で愛のある冷たさを見せる始さん。
「愛を口説くとか本気でやめてねA!!」
そして私の発言に敏感に反応するのは自他共に認めるシスコン、恋さんだ。
「私の夢が現実になったらやめません。お願いですから止めないで下さい」
「そうなった時はお兄ちゃんである俺が全力で引き留めます」
ふざけたやり取りをし、ある程度満足したところで隼兄が口を開いた。
「よくよく考えたら人数が多くて、この人混みを皆で行動するのは無理があると思ったのでペアを決めるためにくじ引きをしたいと思いまーす」
「「はい?!」」
隼兄は何処に行ってもマイペースである。
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います!お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します! (2018年11月5日 18時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです! このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています!! (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年4月15日 23時