月に恋せよ暦ガール 【4】

月恋 第166話 「悪い癖」 ページ24

紺と白のボーダーが入った生地の上を黒い小さな燕達が飛び交う浴衣を身に纏い、浴衣と一緒に送られてきた下駄を履いて寮のエントランスまで降りていくと、偶然にも葵さんと新さん、夜さんと葉月さんの年中組と一緒になった。

皆、自分のイメージカラーの浴衣を着ていたうえに、少し派手な色合いである水色やオレンジと言った色の浴衣もばっちり着こなしていてびっくりである。

「あ、Aちゃんも此れからお祭りに行くの?」

4人の浴衣姿にぽかんと口をだらしなく開け、呆気に取られていると私の存在に気付いた夜さんが安定の聖母スマイルを浮かべてきた。

「じゃあ、一緒に行こうか。夜道を女の子一人で歩くのは危ないからね」

葵さんがそう言ってくれるものの、私は彼等と共に神社まで行くのを少しだけ躊躇った。

いや、多分あなた方と一緒に行った方が危ないと思います。確実に殺られるでしょ。後ろからぶっすりと刺されますよ。年中組ガチ勢(過激派)に。お前なんかがレアな浴衣姿の葵さん達の隣を歩くなんて烏滸がましいんだよ!って。

私の中で皆さんとお祭りを楽しみたいし、お喋りしながら一緒に行きたいと言う気持ちと、ガチ勢の皆さんの言い分、大いに分かると言う気持ちがせめぎあっている。

私だってウルトラスーパーレアな浴衣姿の愛さんが、誰かも分からない男と隣り合わせで歩いてたら発狂する。確実に大荒れする自信がある。だって私は皆さんご存じの通り、愛さんガチ勢(過激派)。

ファンの皆さんの心中を考えると、今までもテレビの前では勿論無いけれど、反感を買ってしまいそうな言動を日常生活で沢山してきたのだ。それを思い返して己の軽率な行動や言動を反省する。

そうすると、段々お祭りにも行きにくくなってしまった。心の中でウジウジ考える、私の悪い癖が出て来ているのだ。

月恋 第167話 「肩の力を抜いて」→←月恋 第165話 「浴衣は帯のせいでお腹が苦しい」

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