月恋 第157話 「痛感」 ページ15
「実は今日の朝、Aちゃんに謝られちゃって」
「「謝られた?!」」
夜さんが漸く話始めたばかりだと言うのに、最初の一言目でその場で話を聞いていた彼を除くプロセラメンバー一同、声を上げて驚く他無かった。
昨日、Aちゃんはずっと熱を出して自室に寝込んでいただけなのだ。
「まさかアイスクリームのお礼と一緒に、ご迷惑をお掛けしましたって謝られるとは思わなくて。俺、迷惑だなんて思ってないし、寧ろ頼ってくれたら凄く嬉しいなって考えてたくらいなのになァって」
夜さんの言葉に俺は頷くしかなかった。俺だって彼女に頼られたら嬉しいし、喜んで力になる。迷惑とかではなく、頼られるくらいに距離が縮まったんだと思うのだ。
けれど彼女が謝ったと言うことは、一線を引かれて距離を置かれていると言うことだと俺は思う。
多分、夜さんもそれに気付いて気落ちしていたのだろう。
「それにね、今日の朝、駆と恋から聞いたんだ。昨日の夜、Aちゃんが一人で飲み物を買いに出掛けたところに偶然会ったって。それを聞いて、やっぱり本当に頼って欲しい時に頼ってくれないんだなって思った」
まだ熱も下がりきらない状態で女の子が一人、暗い夜道を出歩くなんて危ないにも程がある。
彼の話を聞いて、更に駆と恋のことを聞いて俺も皆も、彼女と折角距離が縮まったと思っていたけれど、そう思っていたのは自分達だけだったと痛感させられた。
郁兄と彼女が呼んでくれる度に、妹が出来たみたいだと喜んでいる自分がいた。だからこそ、夜さんの話を聞いて余計に寂しくてなった。
矢張り、彼女の中での俺達は他人なのだ。
「謝られたとき、やっぱり彼女の中で先輩後輩として、他人として線を引かれてるんだなって思ったら寂しくなっちゃってさ。折角一緒の寮で生活しているんだから、責めて他人としてじゃなくて一人の友達として頼ってほしいなって思ったんだ」
夜さんの言葉一つ一つが俺の否、プロセラみんなの心の中に深く深く沈み込んできた。
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います!お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します! (2018年11月5日 18時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです! このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています!! (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年4月15日 23時