ウラオモテカノジョ〜あざとい女の子はきらいですか？〜【1】

外堀を埋められていく ページ8

本当に嫌だなぁ……私、SNSとか苦手なんだけど。

マネージャーさんから、仕事が終わるまでに考えといてねと頼まれてしまった以上は覚悟を決めなければいけない。

うちのマネージャーさんが言う、考えといてね、は覚悟を決めといてねという意味を持っているのだ。

いつもは早く終わらせて帰りたい仕事も、逆に終わらないでほしいと願ってしまうくらい憂鬱である。

深い深い、海よりもふかーいため息を吐き出しかけてぐっと飲み込む。

仕事に私情を持ち込んで、周囲を暗い空気にしてしまうのは控えたい。そう思いながら、ごくり、ため息を飲み込んで。休憩時間を使ってもういちど台詞を確認しておこうと、台本を開いたときである。

「Aちゃん、Twitterやるんだってね？マネージャーさんから聞いたよ〜？」

にこにこ、嬉しそうな笑顔を浮かべながら、私のとなりにやって来た真綾さんの一言に全身がピシリッと音を立てて固まった。

は？は？はぁっ？！

声には出さず。心のなかで発狂する。

あのマネージャーさん、私が絶対にやらないと駄々をコネだす前に先手を打ちやがった！！！

「絶対、毎日見るからね。楽しみにしてる！」

あの敏腕腹黒マネージャーは、私が真綾さんの嬉しそうな笑顔に弱いことを上手く利用してきたのである。

「え、あの、それは」
「え、なに？Aちゃん、Twitter始めるん？俺も見たい」

否定も肯定も出来ず。どう返答すれば良いのか分からないままでいれば、それをたまたま近くにいた真綾さんの旦那、鈴村さんにまで聞かれてしまった。

そう、今日は鈴村夫妻揃っての収録日なのである。

なんで夫婦揃っての共演が多いんだこのお二人は！微笑ましくて、大好きだけれども！

幼い頃からお世話になっている鈴村夫妻に挟まれて、もうNOとは言えないこの状況。まじで、マネージャーさんはこの日を狙っていたとしか思えない。

「え？！Aちゃん、Twitterやるの？僕もフォローしたいなぁ」

そしてまたしても、この話を耳にした島崎 信長さんが爽やかな笑顔でやって来た。やめて、集まってこないで……。

「アカウント、作り方分かる？良かったら手伝おうか？」

そう言ってスマホを取り出す島崎さんに退路を塞がれ、結局その日のうちに私はTwitterのアカウントを作るはめになったのである。

許さんぞ、マネージャー！！！

Twitter1→←そうだ、青い小鳥をやろう！

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