ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ37)

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最推しはだーれだ☆1 ページ37

「まあまあ、とりあえず顔見せるだけでも良いからさ」

という感じで江口さんに背中を押されて、嫌々ながらもリビングへ。

ガチャリ、恐る恐る扉を開けて中を覗きこめば当たり前であるがみんないた。

榎木くん、鈴木くん、武内くんはまだ楽に話せるが、残りの面子が問題である。上手く話せる自信が全くない。

「ほら、入るよ！ただいまー！」

扉の前で入るのを渋っていれば、しびれを切らした江口さんにどこぞの野良猫の如く、ひょいっと持ち上げられてリビングへと強制連行されてしまった。

「あ、おかえりなさーいって、ミケちゃん？！」

最初に私の存在に気づいたのは斉藤さんであった。

江口さんに軽々と持ち上げられてやって来た私に驚きを隠せないご様子で。元々大きくて丸い目を更に丸くさせていた。相変わらず、可愛いお顔してますね。その可愛さと女子力半分寄越せや、と常々思う。

「誘拐してきたんすか」

梅原さんに、何故か冷たい視線を送られた江口さんは慌てて首を横に振った。

「違うわ！たまたまスーパーで会ったから連れてきたの！」
「江口さん、それ普通に誘拐です」
「いや、宏太朗もノリノリだったじゃん！」

あーだこーだと騒がしい夫婦漫才を繰り広げる西山さんと江口さんに苦笑いを浮かべつつ榎木くんが、江口さんに抱えられたままの私を助け出してくれた。

「Aちゃん、こっちおいで」

そしてそのまま私の手を優しく引いて、隣に座らせてくれた彼はまさに救世主である。明日からメシア榎木くんと呼ぶことが決定した。

「榎木くん、ありがとう」

榎木くんとほのぼのしていれば、買い物袋の中身を色々出して唐揚げを作る準備をしていた内田さん(弟)が袋の奥底からとある物を発見して笑いだした。

「これまじで買ったんすか！」

それは私が江口さんに買ってもらった鬼滅の刃のカードがオマケでついてくるお菓子。それを見事に見つけてしまった内田さんは、江口さんか西山さんが買ってきたものだと思ったらしく大爆笑。

「え、誰推し？やっぱり炭治郎？！」

主人公を演じている花江さんが西山さんと江口さんに迫るも、

「あ、それミケちゃんのだよ？」

しーん……と西山さんの一言のせいで、先程まで騒がしかった周りが一気に静まり返った。

「え？！まじ？！だれ？誰が推し？」

そして次の瞬間、花江さんの目の色が変わり、こちらへとぐいぐい迫ってきたのである。