ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ35)

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意外とご近所さんであったことを初めて知った。ページ35

それは歌ってみた企画の打ち合わせがあった翌日の久しぶりの休日のことであった。

嬉しいことに久野ちゃんとも休日が被り、一緒に遊んでお昼ご飯を食べて。そのあとも散々、遊び尽くして夕方ごろに解散した帰り道。

夕飯の買い出しをしなければと、住んでいるマンションから近いスーパーにふらふらっと足を運んだ。

今日はお肉の気分だから、しょうが焼きにしようと手に取ったかごへとぽいぽい材料を入れていく途中で後ろから声をかけられた。

「Aちゃん？」

この聞き覚えのある独特な声は――――

「え、江口さん……？」

そう、先日の収録の休憩中についうっかり私の性格の悪い部分を見せてしまった江口拓也さんである。

恐る恐る振り返れば、江口さんのとなりにはいつものように西山さんもいて。

夫婦かよ……とその二人の姿を見て心のなかで静かに突っ込んだ。

「ミケちゃんも買い物～？今日は久野ちゃんと一緒じゃないんだね！」
「久野ちゃんとはさっきまで遊んでました」
「相変わらず仲良しだね～！」

西山さんの妙に高いテンションについていけず、たじたじになっている私に対して更に江口さんが地獄へ突き落とすようなことを言い出した。

「よかったら、Aちゃんもうちで食べてく？」

江口さんは、私の性格悪い部分を見てなんとも思わなかったのだろうか。

あの時はドン引きしたような表情を浮かべていたくせに、今ではすっかり元通り。なんと言うか、切り替えの早い方で助かったけれど先程の発言はいただけない。

私は、１人でゆっくり夕飯のしょうが焼きを楽しみたいのだ。

「いえ、折角ですが今日は……」
「それいいですね！」
「へっ？！」

丁重にお断りしようとすれば、西山さんが前のめりになって何故か賛成してきた。

「江口さんが夕飯奢ってくれるみたいだし一緒に食べよう！僕、ミケちゃんとご飯食べてみたかったんだよね～！」
「さらっと俺を財布扱いしないで？！まあ、いいけどさぁ」

結局、そんな我が道を行く2人に押し切られてしまい、私は今日、江口さんのお宅で夕飯を食べることになってしまったのである。

どこか遠くに引っ越そうかなぁ……。