ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ22)

今日:23 hit、昨日:3 hit、合計:54,204 hit

嫉妬深さは自覚済みページ22

私は独占欲が強くて嫉妬深い。

自分と一番仲が良いと思っている友人がべたべた他人に触れられているのも、話しかけられているのも、その友人が私以外の人間と楽しそうに話しているのを見るのも辛くなるという大変重いタイプなのだ。

その事についてはもちろん自覚済みだし、嫉妬心が暴走しないように自分でブレーキを掛けることも出来る。けれど、友人がにこにこと私以外の人に可愛い笑顔を向けている事実を目の当たりにするのはとても辛くて。自分を無理やり制するのにもストレスが掛かるのである。

だからこそ、私は自分のためにも相手のためにも、友人が親しい人間と話しているときはこっそりその場を抜け出すことが多い。

今日だって、久野ちゃんが裕貴お兄ちゃんと呼び慕っている梶裕貴さんと一緒にいるのを見かけて、私は静かに席を立った。

絶対、私がどれだけ足掻こうが手に入れることの出来ない久野ちゃんのお兄ちゃんポジションをゲットした梶さんが心底羨ましいと思う。

私だって、久野ちゃんの可愛らしいあの声で「お兄ちゃん」と呼ばれたい。けれど、私はどう頑張っても手の掛かる妹ポジションから抜け出すことは出来ないのである。

ムカムカ、苛立つ気持ちを必死に押さえつけながらスタジオの廊下に出て、そのまま全く人気のない自動販売機のところへと向かった。

ここは、私が見つけたちょうど良い休憩スポットである。

スタジオの隅に何故か設置された自動販売機の横へと身を隠すようにして腰を下ろし、ふぅと一息ついた。

静かで暗いうえに、誰も来ないため大変落ち着く場所である。

休憩時間が終わるまで、しばらくここで気持ちを落ち着けていようと缶のホットミルクティーを購入して、再び自動販売機の影に隠れる。

めっちゃ落ち着く～～～、と思いながら時間を気にしつつミルクティーをちびちび飲んでいれば、

「うわっ、びっっっくりしたぁ！」
「げっ」

何故か、誰も知らないはずのこの場所に江口さんがやって来て、偶然にも隠れていた私を見つけてしまったのであった。