【twst】 TIME OVER -第一節-Ⅱ【逆トリップ】【男夢主】 (ページ46)

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何分か過ぎた時だった。

その時、どこからか歌声が聞こえてきた。生徒の誰かが歌っているのかな、と思ったがなんだか聞いたことあるような歌声で。

──先輩って独特な歌声してますよね。だから多分すぐに分かると思います。

私の頭に流れるのは前にレグ先輩に言った言葉で。そして聞こえる歌はまもなく盛り上がりに入る。そしてまた聞いたことのある歌と声で。

「もしかして……これって……」

わざと言葉にしないで歌声にしたのは……私は髪が崩れるのも気にせずに走った。
その時、庭に植えていた"赤いカーネーション"が揺れた。

～

何度も見た像に何度も見た校舎。そして何度も歩いて何度も思い出を作ってきたこの場所、"メインストリート"。

「あ……」

──それに見覚えのある、今1番会いたかった人影。

「せんぱ……なんで……」
『……やっと来た。あの時分かるって言ってた癖に随分と遅かったな。』
「A先輩？本当にA先輩なんですよね？」
『……確かめてみるか？』

A先輩が両手を開いて私を待っている。私はA先輩の胸に飛び込んだ。A先輩は私が飛びついてくるとは思っていなかったのか少し体制を崩したがすぐに戻って私を抱きしめた。

A先輩だ、A先輩が私の所にいるんだ。私の涙はもう止まる事を知らなかった。

～

少しして私は離れた。我ながら恥ずかしい事をしたな……と思いつつもなんでレグ先輩が居るのか気になった。

「先輩。何でここに……」
『約束したろ？』
「……え？」
『あー……ちゃんと渡しただろ、サネカズラ。』
「花言葉は“再会”……」
『ああ。だから言っただろ？俺は諦めが悪いんだ。』

そう言って笑うA先輩は前会った時と変わらなくて。

『そうだった。再会したら言いたい事があったんだ。』
「え？」
『お前鈍いし、ちゃんと言わないとダメだしな。』

その時、A先輩がいきなり私の前で跪いて花束を渡してきた。そこには"ゼラニウム"と"赤いチューリップ"、"アイリス"。そして”胡蝶蘭”。全部全部恋の花言葉だ。

『俺はユウの事が好きだ。不器用だし色々と無理しがちだけど……それでも良ければ結婚を前提に付き合って欲しい。』
「……何言ってるんですか。そういう所も好きなんですよ、バカ。」

私は笑ってA先輩の花束を受け取る。

「私の人生の終わり(TimeOver)まで一緒にいてください。」

そう言って2人で笑った。