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「ほんまですね。」
「あ、そっちの胡蝶蘭の方がこれから咲くのが多いからええんちゃうかな。」
「長く付き合えそうな花ですね。」
「高いけど。」
「ここはケチったら今後のお付き合いが大変なんで。」
ほんま、やり手やな。
ケチるところケチって出すところ出すって感じ。買った花は自分で運ぶって言うんだから抜かりはないよなぁ。台車に選んだ胡蝶蘭を1鉢置いてから、次に別の花を見ていく。
「すば るが忠義くんのことになるとすごいから、そう言うのがあったから余計なんですね。」
「兄貴みたいな感じ。」
「すば るは弟だって言ってましたよ。」
「そこに世話係も付け足して。」
「世話係。」
「丸山さんの前ではきっと出来るんよ。俺の前だとやらん。」
「あら、僕の前でもやらないの増えてきたから心を開放してるんかな。」
……丸山さんの前で心どころか真っ裸やん。
見せておるやん色いろな部分。
「誰にその感情が生まれるんです？」
急に質問され俺の足が止まる。
「質問したらあかん？」
「……まだ、だめ。」
「確証は出来てない？」
「うん、痛みはほんまにこの人で？って言うのが確証できなくて。痛みが起きないときもあるから、気のせいかもしれんし。」
それは嘘。
その人の名前を聞くだけで……痛みは来る。
「分かるまでは時間かかりそうですかね？」
「たぶん。」
声を聞いてないからほんまにそうなのかが分からない。
あの日から会ってないんやもん。
名前だけの痛みと、会った時の痛みは同じなん？そこも分からへん。
でも、認めたくない
認めたら何になる？
認めてどうなるか俺は分からへん
どうなるん？
あの人の中に俺の存在はないのも分かっている
だからこそ、認めたくない
子供みたいや……
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
