89 ページ39
.
「忠義、それ以上言わんでええ！」
起き上がった人はそう俺に言うた。
「すば る……」
「忠義は入院してから頭が混乱しているんや。恋人とか言うのやめてやってや、忠義はそう言うのおらんねん。」
「なんで、すば るが大倉の代弁するん？」
「そりゃ、一緒に住んでいるんやから分かるで。忠義のことはほぼ把握できる。」
ベッドの軋む音が聞こえて下りた時にはスウェットズボンが見えセンセに言うたん。
「タクシー呼ぶから帰れや。」
「すば る？」
「酔った状況で話しても埒が明かない。酔ってないときにその質問してやって、恋人の質問。」
「それ、いじめやん。」
「酔っていて聞いたこと覚えてない方がアカンやろ？」
「そうやな。悪かった、酔ってないときに聞くな。」
「……改めて聞こうとしないでいいですって、先生。」
「まぁ、ええやん。」
スマホを操作していくセンセを見てから息苦しいまま俺は大きく息を吐き出す。
「すぐ来るみたいや。じゃあ、また。」
センセはそう靴を履いて玄関のドアに手をかけた時やった。
「すば る。」
「なんや？」
「お前……いつから大倉のことを名前で呼んでいるん？」
疑問を投げかけられすば るくんはゆっくり答えた。
「ガキの時からや。ただ、最近は大倉が多かっただけや。」
「そうか。じゃあ。」
ドアが閉まってから数秒してすば るくんは鍵を閉めてから前にしゃがみ込み頭をポンポンと叩いてからゆっくり抱きしめてから俺に言うたん。
「ヨコはあかん。アイツは……ダメや。」
「すば るくん？」
「忠義の顔に書いてあるん。」
「顔に？」
「あぁ、顔に。」
触れたのは酒臭い唇。
軽く
俗に言うフレンチ・キス
「すば るくん……？」
「一緒に寝ればそんな感情消えるで？」
俺の返事を聞くことなく、「寝る！」ってベッドをポンポンして寝かせる状況に追い込まれた。
同じベッドで寝るのはいつ以来だろう？
デカい俺が丸くなってすば るくんが抱きしめる変な状態
ずっと昔こうして寝ていたのに
久しぶりに一緒に寝る
昔はこの一緒に寝るのが幸せに感じたのに今はなぜか幸せに感じない
センセの目が忘れられない
センセイの目に映っていたのは……俺だったんかな
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
