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「病院食って不味いイメージがあったんやけど、最高に美味くてマジにお代わりしたかった。」
霧吹きで植物に水をかけているとタブレットを見ている人はこっちを見て言うた。
「隆平の病院は飯のうまさはこの辺りでピカイチらしいで。」
「病院飯巡りなんてしないから知らんもん。」
「客から聞くねん。どこの病院の米は美味いがおかずは不味いとか、市立病院だから全てにおいてケチだとか。」
「なにそれ。」
「飯が楽しみなんよ、やることないから。」
「そういう理由か。」
霧吹きに水を補充して別の植物の葉に吹きかけていく。
「兄ちゃんが戻ってきて園長喜んでおったで？」
「なんで？」
「ここの手入れは細かくて大変だからだろ？俺まで駆り出されて水をあげてたから。」
「村上さんがふらふらしていたからちゃうの？」
「現場監督はいろいろ見まわってチェックしてんねん。遊んでへんからな。」
細かい作業書き込み終わったら煙草吸っている姿しか見てへんけど、チェックしてたんや。
無事に退院して3日間休んで職場復帰したんやけど、なんせ動きが鈍いから当分はのんびり作業。
カフェの改装工事も終了したら新装開店でまた忙しくなるのは目に見えてわかるから、それまでには動けるようになりたいんやけど。
「村上さんはここが終わったら次はどこに行くんです？」
管理用タブレットを出して俺が作業しながら言うと村上さんは「俺か？」なんて言われた。質問している人は別におらんけど？
「しばらくは事務所で作業。今回位やで、現場に張り付いてんのは。」
「基本は来ない？」
「毎日は来ない。現場監督は久しぶりにしてるんよ。」
「そうなんや。」
「ウチの会社は小規模な会社や。設計図だけしか描かない人もいれば、自分の描いた図面を売り込んでまで仕事を取ろうとする人、現場まで口出す人、事務しか絶対やらない人まで個性バラバラやねん。そんな人が集まって成り立っているんだからすごいとは思うのは、社長の力やな。元々はこの手の仕事なんて考えてなかったん。」
村上さんはそう口にする。
「すば るみたいにやりたい仕事やないしな。」
「すば るくん？元から広告関係に進みたかったんです？てっきり、音楽関係かと思った。」
「音楽は趣味でそれを仕事にしたら音楽を嫌うって言うてたな。」
「言いそう、すば るくん。」
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
