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指切りの約束 ページ5

2月20日
センターへの定期検診を済ませて
フラフラと出歩いていた彼にかかってきた電話は
八田からの野球のお誘いだった

暇だからと河川敷にやってきた紫城は
結局参加せずにベンチに座っていた


「千歳?
どうしたの。

なんか疲れてない?」


「十束さん、今やめて。
もっとイケメン全開の時にして」


「何かあったの?」


どこか披露を滲ませる千歳は
十束の問いを濁して返しただけだ


ビー玉を覗き込んだアンナが千歳を映し
紫城も
周防があっさりと彼方まで飛ばしたボールから
ちらりとそちらへ視線を向けた


「その人、悲しかったんだね」


「へ?」


「死なないでね」


「…ま、思い出せば死ぬことはないでしょ」


アンナの忠告に
紫城も頷きそう言うが

千歳は困惑したまま
打順だと連れていかれる


「待っ、アンナ?
Aも…な、なにそれ」


そんな状態のまま打ったボールが
あらぬ方向へ飛んだ

一般人へ当たると思われたそれは


「みつけた。
千歳くん」


握り潰され
その一言ともにネットと地面が引き裂かれた

表情を引き攣らせた千歳が
慌てて逃げるのを見て、紫城はため息をついた


「ばっかだなぁ」


そう言いつつも立ち上がった紫城を
アンナが目で追う

そんな彼女の頭を撫で
紫城は微笑む


「心配しなくても大丈夫だよ。
千歳は約束を破るような男じゃないしさ」


「シジョウ。
無理してない?」


「するわけないよ」


走って千歳を追いかけたのは
紫城を含め、出羽と十束だ

商店街を駆け抜ける千歳を追う黒髪の女性
次々と引き裂かれる壁や道路は見るも無残な状態だ


出羽が千歳を路地脇に引っ張り寄せ
驚いた彼の口を塞ぐと、見失ったらしい女性はそのままその場を通り過ぎていく


「千歳、早く思い出せよ。
マジで殺されるよ?」


「いや、まじで酔ってて記憶が…」


あっきれた、と今度こそ口にして紫城は頭を振った
酔っていた、というのがどこまでの免罪符になるというのか
そもそも、酔っていたからといってそこまでのヘマをやらかす様な人物だと思っていない
千歳洋という人物を、そう思えるほどには知っていると紫城は自負している

名の知れた殺し屋→←綱渡り



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時

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