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徴に込められたもの ページ20

その言葉に
八田の脳裏に、いつかの記憶が蘇る


『くだらないからだよ。


お前の言う誇りが潰れちゃったな、美咲?』



あれは
その記憶は



歯軋りした八田が男に掴みかかろうとした
まさにその瞬間


「がっ…!!」


紫城が男の鳩尾に
足を振り下ろした

バキリと骨が嫌な音を立てたが
紫城は力を緩めることなく、その足裏からチリっと火の粉が舞う


八田や近くにいた赤城も驚いた様子だが
男を見下ろす紫城の瞳が細められた


「お前の価値観で決めつけてんじゃねえよ。
この徴には、誇りと絆が刻まれてんだ。

それぞれの覚悟が
それぞれの想いが。


生かされた分際で
あんまり余計なこと言わないほうが身のためだよ。
うっかり、殺しちゃうかも」


その時
男の目に紫城はどう映っていただろう

土色の顔色の男から紫城を引き離したのは十束だった

大人しく身を引いた紫城が他に続く様に歩き出すと
咳き込んだ男が紫城の背中を睨みつけて、口を開いた


「奴らから聞いた覚えがある」


「は?」


「お前が…あのプロフェットか。
“本物”に近付いてるって話は本当だったわけだ」


「なに?」


「哀れな奴だ」


その内容を理解出来たのは
紫城の事情を知る十束と草薙と周防、そしてアンナだけだ

本物とはどういう意味か
そもそもプロフェットとはと疑問に思う者だっていた


「(もう、嘘をつくのも限界だな)」


話さなくてはならない
紫城の事情も
その本物の意味も


外へ出ると
何かを考え込んでいたらしい八田だったが
直情型なのも影響して、何かを決めた様子で顔を上げた

周防という王がいるこの街で悪さはさせない
周防こそが王だ


周防は言わせたい奴には好きに言わせておけという


だから
八田は、やる気が空回ったのか
モグラを絶対に捕まえて見せます、とスケボーで走り去って言ってしまう


ため息をついた草薙がひとまず情報を集めるように指示を出し
紫城は鳴り響いた端末に足を止めた


「すみません、俺ちょっと用事が出来たので1度ここで」


バーへ戻る草薙達にそう伝え離れると
紫城は端末を耳に当てた


「初めてですね、アンタが協力を仰いでくるの。


ね、青の王様?」

試された答え→←傷のついた誇り



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作者名:鍵宮 | 作成日時:2019年7月9日 19時

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